2010年06月24日

イワヌーシュキ・インターナショナル(1)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ディラー?(ごきげんいかがですか?)

これまで、ロシアの代表的女性グループ「ファーブリカ」の曲を3曲ご紹介しましたが、今回は、いよいよ男性グループの登場です!

名前は、「イワヌーシュキ・インターナショナル」
うちの会社は、「シューエイシャ・インターナショナル」。(関係ない…。)

彼らは、1995年のデビュー以来、数年前までロシアで随一の人気を誇っていたグループで、
メンバー構成は、
純正ブロンドで甘いマスクの、アンドレイ・グレゴリエフ、
黒髪のマッチョ・タイプでモデル出身の、キリル・アンドレイエフ、
ちょっと不良っぽい無国籍少年風坊主頭くんの、イーゴリ・ソーリン、の3人組。
(「ファーブリカ」同様、彼らも外見といい雰囲気といい、タイプのまったく違う3人で構成されています。)

1995年にグループ・デビューを飾り、翌年、初アルバムをリリースすると、ロシアの若者(男も女も)に支持されて、あっという間に人気グループに。
その後も、次々に大ヒットを放ち、押しも押されぬロシアン・ポップス界のトップ・スターとなり、いまに至ります。

つまり、ロシアの、たのきんトリオ!…、
あ、あ、いや、ロシア版3人組SMAPといったところでしょうか。

ちなみに、「イワヌーシュキ」とは、「イワンくんたち」という意味。
前々回で、ロシア人の愛称について説明しましたが、かつてロシア男性にポピュラーだった名前のひとつが、「イワン」。

そう、ロシア文学の文豪トルストイの作にも「イワンのばか」というのがありますね。
で、イワンの愛称が、イワヌーシュカ。
イワヌーシュキというのは、この複数形になります。

つまり、グループ名は、「おれらは、インターナショナルなイワンくんたち!」という意味になります。

では、まずはデビュー当時の代表作のひとつ、「グジェー・タ」(どこかで)から。
好きになってしまった女の子への熱い思い。
でもそれが届かないことへの、つらく切ない気持ちを歌った歌です。
(ありましたね〜、若いころ、こんな時代が…。)

以下、歌詞の概略です。
ぼくはいつも夢見る…。
遠いどこかの美しい川岸。そこではいつも温かい風が吹いている。
ぼくたちはいっしょに花を摘む。夏の岸辺に残るふたりの足あと。
遠いどこかで、ぼくはきみといっしょ…。
ああ、でもきみはまだぼくを知らない。ぼくの気持ちに気づかない…。
きみは目を覚まし、窓を開ける。でもぼくのことが見えない…。
ああ、ぼくはこんなにすぐそばいるのに。


では、どうぞ!



ここでちょっとひと言。
先ほど、彼らはロシア版SMAP、といいましたが、ロシアの男性グループは、日本のように、派手なステージ衣装でビシーッッとそろえたり、凝った振り付けで揃って踊ったり、ということはあまりしません。

この「イワヌーシュキ・インターナショナル」に限らず、ステージで着る服はみんなバ〜ラバラ。踊りもけっこうバ〜ラバラ。

「イワヌーシュキ〜」のこのクリップでも、黒いノースリーブのわけのわかんない服を着たキリル(黒髪マッチョ)、Tシャツにジャージ・パンツ姿のアンドレイ(ブロンドくん。でも、これって家でぐだぐだごろごろしてるときの、完全ズヤズヤふだん着だろうが)、ロシアン・マフィア風黒革服姿のイーゴリ(坊主くん)と、みごとにバ〜ラバラ。

でも、歌う方も観客も、彼らロシア人はそんなことぜ〜んぜん気にしません。
逆に、衣装も振り付けも、「商品」として完ぺきにコーディネートされ、マーケティングしてプロデュースされる日本のグループを初めて見たロシア人は、まずびっくりしちゃいます。

ちなみに…、
ロシアの若者は、トランス系の音楽が大好きです。

――え、「トランス系」? って、それなーに?
ごく簡単に説明しますと、シンセサイザーそのまんまっぽい大音量の音と、単調なくり返しのビート(ドラム&ベース)を強調した、ディスコ系音楽のこと。
(ロシアでは、このトランス系ミュージックのことを、なぜか「すっぱい音楽」とよびます)

なので、この「グジェー・タ」も、ロシアの若者の好みを考慮して、わざとトランス系の味つけがされてます。

そして、ロシアの若い女の子は、とにかくディスコが大好きです。
地方でも、大きな街だと、何百人も入れるような巨大なディスコがあり、そこに高校生や20代前後の若い女の子がひしめくように集まってきます。
(8割ぐらいが女の子です!)

驚くのは、彼女たちのダンスがめちゃくちゃうまいこと!
そのレベルは、アメリカの女の子など比べものになりません。

日本のパラパラみたいに、グループでまったく同じような振り付けで踊ることは絶対ありません。
みんな、それぞれ好きなスタイルで勝手気ままに踊るのですが、髪をふりみだし、くるくる回ったり、体全身を使ってそれはそれは激しく踊ります。

そして、これがすっごくセクシー。
なぜなのかはわかりませんが、こういうところに民族のDNAが表れるんでしょうか。

もうひとつ、彼女たち、ロシアの若い女の子が大好きなのが、カラオケカラオケです。
どんなに地方の田舎町でも、(日本同様)簡単な軽食が食べられてお酒が飲めるような場所(たとえばスナックみたいなところ)は無数にあり、そこにはかならずカラオケがあります。
日本の文化は、ここまで浸透してるんですね〜。

ところで…、
ロシアでは、スーパーでも、コンビニでも薬屋さんでも、もちろんディスコやスナックでも、おうおうにして、日本や欧米のように、通りにひと目でそれ!とわかるような派手な看板がかかっていません。

つまり、あれはお店なのか? だとすれば、いったいどんなお店なのか? 
ロシア人以外にはわかりません。
だから外国の旅行者なんかだと、目的のお店を探すのがとにかく大変です。

なかには、何回も別の部屋の扉を開けて進んでいかないとたどりつけないようなケースがけっこうあって、知り合いのロシア人と一緒じゃないとちょっと緊張したりします。(汗)

では、次回も、「イワヌーシュキ・インターナショナル」の大ヒット曲をお届けしましょう!
(続く)
posted by クミートリー・ヤクーニン at 11:00 | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月17日

ファーブリカ(3)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)

カーク・ディラー?
(ごきげんいかがですか!)


「うーん、ロシアン・ポップスの魅力がまだよくわからん!」という方たちへ。
FSB(旧KGB)ににらまれないように、早速もう一曲、「ファーブリカ」の代表作を紹介しましょう。
彼女たちの大ヒット曲、「マリーナ」です。

ちなみに、「マリーナ」というのは、女性の名前ではなく、ロシアで採れるラズベリーのこと(ロシアでは、森に行けば、たいていどこでも自生しています! 画像はこちらで見られます)

森の中で、一緒にラズベリーを食べたり、踊りを踊ったり、好きな人と過ごした幸せな時間。そして、初めてキスをした夏の夜…。
でもそんなあなたはもういない。枯葉の落ちる秋、かつての森にひとりたたずんでいると、甘く切ない思い出がよみがえってきて…。

忘れられない恋人とのキスの思い出を、ラズベリーの甘酸っぱい味にたとえた、ちょっともの哀しい歌です。
(ちなみにロシア人は、このラズベリーが大好きなので、「マリーナ」に関する歌も多く、この甘くてやさしい味にたとえて、恋心をつづった歌がたくさんあります。)

では、ど〜〜ぞ!



さて、これまで「ファーブリカ」の代表曲を3曲をお聴きいただいたわけですが、グループ構成に、なにか気づきませんでしたか?

そう、メンバーが、ブロンドと黒髪とブルネットと三者三様であること(つまり、男側からすると、よりどりみどり!)。

ちなみに、サティちゃんは、ちょっとアジア系っぽいエキゾチックな黒髪美人。サーシャちゃんは、正当派モデル系のブロンド美人。そして、コケティッシュ&お茶目系のイリーナちゃんは、ブルネット美人。

実はロシアでは、女性グループを世に送り出す場合、レコード会社のプロデューサーは、彼女たちのように、必ずと言っていいほど、ブロンドと黒髪とブルネット美人をそろえます。

なぜか??
それは、ロシアが多民族国家!だからなんです。

ところで…、
ひょっとすると、みなさんの中には、ロシアは白人(=スラヴ民族)だけの国、と思っているかたがいるかもしれませんが、実は、ロシアには、「とりあえず白人」であるスラヴ系のほかに、中央ロシアや極東ではアジア系、南ロシアではイスラム系(アラブ系)の民族も多数住んでいます(少数民族の人々を入れると、世界一といわれている多民族国家であるアメリカの数倍近い人種が住んでます)。

「共産主義はしいたげられた人民と労働者を解放するのだ!」といいながら、実は領土を広げていく課程で次々にその土地を実質的に植民地化していった旧ソ連ですが、現地を支配するために自国民(=白人)を移住させていきました。
その結果、スラブ系白人と異民族が共生する独特の状態が生まれていったのです。

政治的エリートは別として、当然ながら、労働者レベルの貧しいロシア人たちは現地の人たちと助け合わないと生きていけないので、徐々におたがいが接近し、異民族同士が「敵対」するよりは、むしろゆっくりと「同化=融合」していったのですね…。

その結果、不思議なことは、モスクワやサンクトペテルブルクなど、西ヨーロッパに近い大都市は別として、「地方」や「田舎」では、ほとんど民族間の「差別」が見られないという事実です(ないわけではありません)。

てなわけで、アジア系の人がロシア系白人を好んだりするだけではなく、逆に、ロシア系白人が、自分にはない真っ黒い髪と目のアジア系の男女に、まったく違和感なくあこがれちゃうことも非常に多いです。


さて、みなさん。ロシアン・ポップスの魅力が、だんんだんおわかりいただけてきたでしょうか?

―いや〜〜、まだまだ!

よーし。それでは、次回もまた、強力なラインナップを準備しますよ!
(続く)
posted by クミートリー・ヤクーニン at 11:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月10日

ファーブリカ(2)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)

前回は、「ファーブリカ」という3人組女性グループの代表曲をご紹介しましたが、いかがでしたか?

歌詞の内容はたわいもないかもしれませんが、サウンド的には、メロディー重視で、とっても素朴、だと思いません?
だから、音楽的才能がない人(あなたではありません)にも覚えやすい。

アメリカや日本のポップスみたいに、バックの音がこれでもかこれでもか!というぐらいに緻密に濃密にコテコテにこりまくって作られているのとは対局にあります。

このシンプルさこそ、いわばロシアン・ポップスの特徴であります。
ま、いってみれば、ワーグナーとサティとの差、みたいなもんでしょうか…。(^o^)!

あるいは、確かにおいしいけれど、手を加えすぎてソースの成分がわけのわかんないおフランス料理と、素材が勝負のさっぱり&シンプルな美味の極致、お刺身の差、とも…。(しつこい…)

ちなみにバックには、ロシアの民族楽器、バラライカと、アコーディオン(ロシアでは、ガルモーニといいます)が入っていて、わかる人にはちょっとエキゾチックに聞こえると思います。

ま、わたしがくだくだ言うより、ロシアン・ポップスの素朴さを証明するような「ファーブリカ」の2曲目、いってみましょう!

曲名は「リョーリク」です!

内容は、仲良し3人組の女の子が、それぞれ自分たちの恋人(リョーリク、サーニャ、パーシャ)に向かって、「もちろん、あなたのことは大好き! でももうちょっと独身を謳歌したいから、まだ結婚はしないわ…」と語りかけます。

なんとか彼女をものにしたい彼氏と、大好きだけど束縛はされたくないって思う若い女の子のホンネの気持ちを歌った曲です。



ちなみに曲のなかで、女の子たちが「リョーリク」とか「サーニャ」とか「パーシャ」と呼んでいるのは、それぞれの彼氏(男の子)の愛称です。
リョーリクは、アレクセイ。サーニャは、アレクサンドル。パーシャは、パーヴェルという、ロシア人男性によくある名前のひとつなんですね。

ところで、ロシア人は愛称が大好きで、男でも女でも(こどもでもお年寄りでも)、親しい間柄では、おたがいにかならず愛称で呼び合います。

で、ロシア人の名前(姓名)ですが、苗字は無数にあるいっぽうで、名前は数えるほどしかありません。なぜか、親がこどもに、みんな、お〜んなじ名前をつけるのです(最近日本では、こどもにわけのわからない名前をつけますが、ロシアはむかしも今も変わりません)。

時代時代によって多少の流行もありますが、女の子だったら、だいたいこんな感じ。
イリーナ、エレーナ、タチアーナ、ユーリア、マリーア、アーンナ。
男の子だったら、
ユーリ、アレクセイ、アレクサンドル、セルゲイ、アントンなど。

だから、ロシアの小学校の教室で、先生が「では、イリーナちゃんは、この問題をどう思いますか?」などと質問しようもんなら、何人ものイリーナちゃんがいっせいに立ち上がって、意見を言いはじめることになります。

それぞれの名前には、昔から愛称がだいたい決められていて、

 (女性)
 イリーナ → イーラ
 エレーナ → エーリャ
 タチアナ → ターニャ
 ユーリア → ユーリャ
 マリーア → マーシャ


 (男性)
 ユーリ    → ユーラ
 アレクセイ  → アリョーシャ、リョーリク
 アレクサンドル→ サーシャ、サーニャ
 セルゲイ   → スィリョージャ
 アントン   → アントーシャ


となります。
日本で言えば、「○○ちゃん」にあたるわけです。

もっと親しみをこめて言う場合は、ふつう、上の愛称の語尾に、さらに「チカ」(あるいは「シュカ」)をつけます。
たとえば、イリーナ(女の子)だったら、イーラチカ。ユーリ(男の子)だったら、ユーラチカ。

おもしろいのは、こどもに対するそのときの感情しだいで、母親も呼び方をころころ変えます。

(1)きげんがとってもよくて、こどものほっぺたにチュッチュするようなときは、
 ユ〜ラチカ〜〜ハートたち(複数ハート)

(2)ごくふつーの精神状態のときは、
 ユーラわーい(嬉しい顔)

(3)堪忍袋の緒が切れたとき、
 ユーリ〜〜〜〜ッ!!!むかっ(怒り)

と、みごとな3段階活用となります(他の名前もおなじ)。


さあ、これまで、「ファーブリカ」の2曲を聴いてみていかがでしたか?
通常は、次の3タイプに分かれるでしょう。

(1)お、けっこういいじゃん! ロシアン・ポップスがこんなだったなんて、知らなかったねえ。(=無条件感動派)
→あなたは、ロシアの女の子や男の子とすぐに仲良くなり、恋が芽生える可能性大です! ひょっとしたら、ボルシチやピロシキ(揚げパン)など、おいしいロシア料理をたんまりごちそうしてくれるかもしれません。

(2)ふ〜ん、よくわかんないけど、ま、こんな音楽もあるんだなあ〜。(=条件つき関心派)
→あなたは、今後の努力次第で、ロシアのかわいい女の子や男の子と知り合いになれるでしょう! ピロシキぐらいはおごってくれるかも。

(3)なんだ、これ? いったいどこが魅力的なんだよ!(=無条件怒り派!)
→あなたは、ロシア人に無視され、きらわれるでしょう。そして、FSB(昔のKGB)ににらまれるかもしれません…。(^o^)!

私としては、もちろんみなさんに(1)のようになっていただきたく、次回も強力な作品をご紹介したいと思います。

乞うご期待!
(続く)

posted by クミートリー・ヤクーニン at 11:00 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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