2010年07月30日

ジャスミン(3)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ディラー?(ごきげんいかがですか!)

さて今回は、ロシアを代表する女性シンガー、ジャスミンちゃんの第3回目!
ファースト・アルバムの表題曲、「ガラバロームカ」(謎)を紹介しましょう。
彼女の名を一気に知らしめた、記念すべき最初の大ヒット曲です!

ではさっそく、歌詞の内容です。


夏。ふたりの時間はまたたくまに過ぎていった。
夏は、恋をするにはもってこい。
かんたんに恋に落ちるから。
でも、あなたを理解するには短すぎた。
秋になれば、ふたりの気持ちは木の葉が紅葉するように、
まったく違う色に変わってしまう。
そう、恋は夏のよう。そして夏の恋は謎のよう。
あっというまに過ぎ去って、突然空虚なものになる…。
わたしたち、きっと急ぎすぎたのかもしれないわね…。


私がとやかく説明する内容ではないですね。
まさに、恋の本質を突いた歌詞であります…。

例によって、歌詞の内容とはほとんど関連性のないクリップですが…。では!


ところで、夏といえば…。
ここ最近のニュースによると、ロシアでは各地で38度をこえる猛暑が連日のように続き、6、7月の水死者の合計はなんと! すでに2000人を超えているとのこと。
その原因のひとつは、ウオッカを飲んで泥酔したロシア人男性が、そのまま海に入っておぼれ死んでしまったことだ、と報じられています。

でも、TVのニュースを見ると、べろんべろんのロシアおやじが出てきて、政府の注意の呼びかけを無視して、「うっせーなー(ヒック)。オ、オレは(ヒック)でーじょーぶだよ!」(なぜか江戸弁)と、ろれつが回らないまま海(川?)に飛びこんでいく映像が出てきたりして…。

それほど、ロシア人はウオッカが大好きです。
というか、国産で作っている蒸留酒は、ウオッカしかありません。
ウイスキーは輸入品なので、高すぎて庶民には手が(足も)出ません。
国産のビールはけっこういろいろな種類があります。でも、まずいです。
それと、レストランでビールを注文しても、冷えてません…。
日本人や外国人が驚いて文句を言うと、その時点からビールを冷やし始めます。(^0^)!
す、すばらしい国ですね〜!!(汗)

結局、冷えたビールが出てくるのは、へたをすると、メシを食い終わった2時間後ぐらいになります(それでもぬるい!)。
そう、もはや食後酒です(もう、いらんわ!!)。

というか、ロシア人にはまず、酒を冷やして飲む、などという習慣がありません。
ウオッカももちろん、日本のバーみたいにギンギンに冷やしたり、オン・ザ・ロックにしたりすることはしません。
だから、せっかくの酒を、水でうすめたうえに、さらに氷を入れて冷やす、「水割り」などは、彼らにはまさに想像を絶した「生ぬる〜い」飲み方です。
というか、そういう発想がもとからありません。
酒は生(き=常温のストレート)で飲む、というのが絶対基本条件なのです。

それと、ロシア女性の名誉(?)のために言っておきますが、彼女たちはそれほどウオッカを飲みません。あたりまえですが、女性には強すぎます。
彼女たちが飲むのは、だいたい、ワインかコニャックです。
でも、ロシアじゃあ、ワインやコニャックは高級品なのでは? と思うかもしれませんが、ロシアの南部にある気候が温暖なグルジアやモルドバ(両方とも、旧ソ連諸国)から、良質なワインやコニャックが安く手に入ります。

ウオッカはよくアルコール度数が高いと思われてますが、実はウィスキーと同じ、40度ぐらいのものが大半です。
でも、ロシア人は、「家族の幸せのために!」とか「みんなの健康のために!」とか「美しい女性のために!」と、何かにつけて休みなく乾杯(必ず杯を空けなければいけません!)するので、それにつきあわされて飲むと、日本人の場合、あとで死ぬほどおそろしい目にあいます。(ほんとに死ぬかもしれません…。)

ウオッカを水のように鯨飲するロシア人ですが、さすがに、つまみ(ロシア語で、「ザクースカ」といいます)を食べながら飲みます。
彼らが一番好きなのが、「サーラ」という、肉の脂身(白身)を塩漬けしたもの。
強力なウオッカから、脂肪で胃壁を守るわけですね。

東京に住んでいる、あるロシアの友人の家に遊びに行ったとき、このザクースカとして、レモンの輪切りの上に砂糖を右半分、コーヒーの粉を左半分、たっぷりまぶしたものが出てきたことがありました。
「これを食べながら飲めば、悪酔いしないからね〜〜」
という言葉をもろに信じ、
「さあ、もう一杯いこうぜ!」
という言葉に乗せられて、よ〜し一杯、また一杯と…。

ふと目を開けると、翌日、しかもすでに夕方、なぜか自宅の寝床に横たわっている自分に気がつきます。意識ははっきりしています。で、起き上がろうとすると…、
起き上がれません。
頭がクラクラします。いや、グラグラします。
もう一回、起き上がろうとすると、今度は、自分は世界の中心で、まわりがぐるぐる回転していくような、すさまじい感覚におそわれます…。(^0^)!
…。
はい。みなさんも、慣れないお酒の飲みすぎには、ぜひぜひ気をつけましょう!


…しかし。
あとで、これはウオッカを東京なんかで飲んだから、こんな凄惨な状況におちいったということがわかったのでした…。

ウオッカ恐怖体験のあとの、ある年の2月、ロシアのボルガ川ぞいにある、ボルゴグラードという大きな工業都市を訪れたことがありました。
(ちなみに、昔は「スターリングラード」という名前で、第2次世界大戦のとき、ドイツ軍と壮絶な戦いをしてソ連軍が勝利した場所として有名です。)

ロシアの真冬ですから、外はあたりまえに、マイナス20度〜30度ぐらいです。
そんなとき、郊外にある木造の一軒家にお邪魔したことがありました。

こうした一軒家には、ロシアの伝統的な暖房設備として、必ず「ペーチカ」という暖炉があります。(そう、だれでも知っているあの日本の童謡「ペチカ」がこれです。「ペーチカ」とは、本来「暖炉」「ストーブ」という意味です。)
でも、古い家だったので、あちこちのすきまから、スースー冷気が入ってきて、10分もすると、足もとからゾクゾクと強烈な冷えが伝わってきて、体全体に広がっていきます。
そんなこちらの事情を察した家のご主人。急いでレモンの輪切りが漬けてあるウオッカのボトルを持ってくると、「さ、さ。これをどうぞ!」と、それをコップになみなみと注いで目の前に差し出します。

一瞬、東京での「恐怖のウオッカ体験!」が私の頭をよぎりました。
が、そこは世界一善人の日本人! うやうやしくおじぎをして「え〜い、ままよ!」と一気飲みをしてしまったのでした。で、その後、私の身になにが起こったか…。

口からのど、のどから食道、食道から胃と、ウオッカがくわーッ!と順々に体のなかを伝わっていくのがわかります。そして、体じゅうが燃えるように熱くなります。
ヤバい…。

ところが…!
ものの5分たつか、たたないうちに、その火照りが、スーーっと消えていくのです。
もちろん、「酔い」なんてものはまったく感じません。しらふのまんまです。
そして、しばらくすると、また例の不気味な寒さがじわじわとおそってきます。で、またウオッカを一気飲みします。体が内側からほかほかしてきて、気持ちよ〜〜くなります。また飲みます。また気持ちよ〜〜くなります。
このくりかえしが、えんえんと続きます。

つまり、ウオッカというのは、このロシアのきびし〜〜い自然のなかで人間が生きていくために、必然的に生まれた飲みものであるということが、実際の体験からわかったんですね。
ということは、もともとこの酒は、東京のバーのような、ひじょうに快適な環境のなかなんかで飲むもんじゃない、ってことですね。
そんなところで、ある限度以上に飲んだら、確実に瀕死状態になるのはあたりまえ、ということです。

考えてみれば、別にウオッカにかぎらず、スコッチだってそうですね。
冬の過酷な自然環境のスコットランドの海辺で(行ったことはありませんが)、過酷な労働をしなければならなかった漁師が、いっときの暖を取るためとエネルギー回復のために、ボトルの口づたいにスコッチをぐいぐいと一気飲みしたのが本来のごくごく自然な飲み方であって、「あのさあ、シングルモルトのさあ、○○の△年もの。ロックでおねがいね〜。あ、チェイサーも」なんて、都会の快適なバーで女性を横にはべらせながら飲むもんじゃねーんだぞー!
…と、思わずひがみ8割で語気を強めてしまう私、ヤクーニンでありました…。

話をちょっともどしましょう。
ほんもののウオッカはひじょうに純度が高いので、ロシアでは、車のガソリンが切れたときに、平気でウオッカをガソリンタンクにどぼどぼ注いじゃいます。あせあせ(飛び散る汗)
ウオッカは小麦などの穀物が原料ですから、いまでいう、「バイオ燃料」を先取りしていたわけです! す、すごいですね〜〜、ロシア!!(^0^)!

ロシアは広いので、日本みたいにそこら中にガソリン・スタンドがあるわけじゃありません。郊外に行けば、なおさらです。
そんなところで、冬の、特に深夜にガス欠になったら、確実に凍え死んじゃいます。
というわけで、ロシア人は、特に冬は緊急用のために、車の助手席にウオッカをたくさん置いておきます。

でも、なぜ助手席…?
体も冷えるから(特にロシア製の車)、運転しながらそのウオッカをどんどん飲んじゃいます!
つまり、ウオッカは、ロシア人にとって、緊急事態にそなえて、自分の命を守るための必須アイテムというわけです。

ところが…。
旧ソ連崩壊後、皮肉なことに、ウオッカ飲みすぎのアル中、エリツィンのせいで、経済はどん底におちいります。ハイパー・インフレ(パンから肉から、あらゆるモノの値段が信じられないくらいに暴騰しました)が起き、庶民の生活は完全にぼろぼろ…。
もちろん、ロシア人庶民にとっての生活必需品、それも安価だったウオッカでさえ、ほとんど手に入らなくなります。

すると当然、偽造ウオッカ(=超粗悪品のウオッカ。不純物が大量にふくまれてます)が、(闇)市場に大量に出まわることになります。
車のタンクにこの「にせウオッカ」を入れます。すると、もちろん車はすぐに故障します。
そして、この「にせウオッカ」をロシア人(男)が(大量に)飲みます。すると、もちろん人間もすぐに故障します。

つまり、この「にせウオッカ」が原因で、ロシア全土で大量の人(大半が男性)が中毒を起こしたり(たとえば、目がつぶれたり)、死んだりして、大変な社会問題になったこともありました。(酒が手に入らないので、医療用や工業用のエチルアルコールを飲んで多くの人が死んだ、まさに、あの日本の戦後の状況と同じですね。)


ロシア人の生活のなかで、ウオッカはほかにも重要な役割を演じます。
悪寒と関節痛がとつぜん全身をおそいはじめる、あのいや〜な風邪の引きはじめってありますね。
「ああ、このままだと明日は必ず熱が出る!」
そんなとき、ウオッカが大活躍をします。

(1)まず、大さじのスプーンにさとうを山盛りにのせ、そこにウオッカをたっぷりたらします。
(2)それを、ガスコンロなどの火であぶります。すると、ウオッカのアルコール分が蒸発してきてボッと青白い炎が出ます。
(3)そのまましばらくあぶりつづけ、さとうがちょっと焦げてきたところで火を消します。
(4)それを、あつあつに温めておいたコップ半分くらいのウオッカにいれて、よ〜くまぜます。
(5)これを一気飲みします!!

すると、もうおわかりのように、とつぜん体がぐ、ぐ、ぐわーっっと燃えるように熱くなります。そして、速攻で頭がくらっときて、一気に酔っぱらいます。
そうなると、好むと好まざるとにかかわらず、もう寝床に一直線に走ります!
すぐに意識を失い、そのまんまぐっすり寝てしまいます。
そして翌朝、目をさまして起き上がると…。
あれ? ホントに、ウソのように、すっきり!!!(変な日本語です。)
もちろん、二日酔いもなんにもありません。

ロシアでは、「あ、ヤバい! 風邪かも!」というときは、おとなだけでなく、こどもにも平気でこれを飲ませちゃいます。
私も、この「ごくあま・あつあつウオッカ!」で、何度となく風邪を引かずにすんだことがあります。

これは、あるお医者さんに聞いた話ですが、
ウオッカを飲んで、一時的に体内の熱が急上昇することで、細胞が一気に活発な活動をはじめる。→もちろん、アルコール分は勢いよく血液に溶けこみ、血液のなかの白血球など、外部の病原菌を攻撃する免疫細胞も「パワー全開!」になって、全身を駆けめぐる。しかも、山盛りのさとうのおかげで、燃料(=エネルギー)もたっぷり!
というメカニズムなんだろう、とのことでした。

また、こどもが風邪を引いて、せきがひどくなったり、気管支炎になったときなどは、お母さんが、ウオッカを脱脂綿にしみこませ、そのちいさな胸に、やさしく何度も何度も塗りつけます。
これをやると、こどもは息をするのがすごく楽になり、よく眠れるようになるのだそうです。
おそらく、ウオッカのアルコール分の気化熱で、内部の炎症がやわらぐのではないかと…(あ、これは医師無免許の私の推測です)。

す、すごいですね〜〜〜、ロシアのウオッカ!!

というわけで、今回の長い余談は、「ロシア人とウオッカの深い関係」についてでした。

では、次回もお楽しみに!!

ダスビダーニヤ!!(さよなら!!)

(続く)
posted by クミートリー・ヤクーニン at 15:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

ジャスミン(2)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ディラー?(ごきげんいかがですか!)

さて、前回ご紹介したジャスミンちゃん、いかがでしたか?
エキゾチックな美貌と、ダンサブルな曲に、きっとご満足いただけたのではないかと!

彼女の経歴をもう少しくわしくご紹介しておきますと、父親はダンスの振り付け師、母親は指揮者。
というように、もともと芸術家の家系で育ったのですが、実は彼女、若いころは音楽の道に進む気など、まったくなかったんですね。

お父さんからは、「将来医者になれ。だから、医科大学をめざせ!」と言われましたが、彼女は語学、特に英語が好きだったので、父親のそんな言葉を無視して、外国語専門の短大に進学します。

でもイスラム系の家系なので、お父さんは保守的で、その権力は絶大です。
で、短大を卒業して美しい大人の女性になった彼女は、あるとき、父親の意思により、むりやり、地元の若き実業家の男性と結婚させられてしまいます。
ふたりには男の子がひとりできますが、(ロシア女性の常として)結局その後しばらくして離婚してしまいます。

(ロシア女性の常として)小さな息子を引き取ったジャスミンは、生活費をかせぐために、別れた前の夫にばく大な資金を出させて、一気に音楽界にデビューします。
もともと潜在的に音楽的才能のあった彼女、そのたぐいまれなる美貌も幸いして、一挙にロシアン・ポップス界のトップに躍り出た!のでありました。(拍手!)

では今回も引き続き、そんな彼女の代表曲をご紹介しましょう。
バラード調の非常に美しい曲、「テュイ・ダリコー」(遠いあなた)です。

歌詞の内容は…

時計の針は、はさみのよう。
残酷にも、時間の糸をとつぜん切ってしまう。
そして、もうなにも悩まなくなる。
そうなれば、子どもの時のように楽になるけれど、
悲しいのは、もうあなたに会えないこと。
風はわたしの心に呼びかける。
あなたなんか、忘れてしまえと。
わたしの肩は、もうあなたの指の感触を覚えていない。
あなたとの思い出の記憶の網は、ばらばらになる。
もうわたしには、なにも手に入らない。
残念なのは、あなたにもう会えないこと。
ああ、あなたが遠すぎる…。


最初は愛しあったふたり。でもなにが起こったのか、しばらく会わないうちに、彼への気持ちは徐々にはなれていって、恋の終わりを意識する彼女…。
わかります。好きな人からの連絡がだんだん途絶えがちになってくると、相手が自分をどう考えてるのか、すごく不安になりますよね…。

では!


しかし、前回同様、今回のクリップも非常に凝っていて、お金かかってますね〜。それだけ彼女が売れてる、ってことなんでしょう。

ところで、前回の曲のロケが行われた地下鉄のビデオクリップの話をしましたが、それに関連して、今回もちょっと補足させていただきます。

ロシアで地下鉄があるのはモスクワだけ、と言いましたが、初めてこの地下鉄構内に足を踏み入れた日本人は(外国人も)、その中身と雰囲気にびっくりするでしょう!

まず、地下鉄は、地下のものすごく深いところを走っています。
改札口を通ると、プラットホームへ向かうためのエスカレータがありますが、これがめちゃくちゃ長い!!
どこの駅でも、最低60、70m以上はあります。
なんと、エスカレータの終点が見えない場合がふつうです。
都営地下鉄の永田町駅にある、乗りかえ用の長〜いエスカレータをご存じのかたは、それを想像していただくとイメージしやすいでしょうが、あまい、あまい! 

モスクワの地下鉄は、これの3倍、4倍はあります。(終点につくまでに、だいたい2分以上はかかります。)
そして、別の路線が乗り入れている駅などは、プラットホームにたどり着くまで、この超長いエスカレータを何度も乗りかえなくてはいけない場合もあります。

次に驚かされるのは、エスカレータのスピードのものすごい速さです。
おそらく、日本の地下鉄の2倍〜3倍はあるでしょう。
足腰の弱った日本人のおじいちゃんやおばあちゃん、3、4歳のこどもが初めて乗ったら、まず簡単に後ろに倒れます。あせあせ(飛び散る汗)
(体の不自由な人や、車いすに乗った人は、いったいどうすればいいんでしょう?)

乗り心地も最悪で、ゴツンゴツンという粗っぽい感触が足元を伝わってきます。そして、グウォーっという轟音がします。
そう、まるで地の底に向かって、一気に突き進んでいくような感覚です…。(^0^)!
ちなみに、ロシアの工業製品は実用がすべて。人間に対するサービス精神など皆無だということがよくわかります。

言葉で説明するより、実際、試乗(?)したほうがはるかにわかりやすいと思います。
では、こちらでご体験ください!(ただし、これは上りです。)

しかし、こうなると、もう人間ベルトコンベア状態ですね…。
画面では実感できないかもしれませんが、エスカレータの傾斜角度も日本よりずっと急ですので、かなり怖いです。

ちょっとした恐怖を感じてエスカレータを降りたあと、プラットホームに到着すると、今度はそれとはまったく別の驚きを味わうことになります。

「な、な、なんなんだ、いったい、この目もくらむような光景は…。」

目の前に突然現れるのは、きめ細かなレリーフがほどこされた大理石の白い壁、アーチ型にくりぬかれた、無数の通路の出入り口、天井に延々と連なってやわらかな光を放つ豪華なシャンデリア、床にはめ込まれた美しい大理石のタイル…。なかには、古い絵画やアンチックな彫刻が飾られている場所も。

ひょっとして、ここは美術館? それとも歴史的宮殿の一室exclamation&question と見まごうような、けんらん豪華な光景を目のあたりにすることになります。
駅によってはそれがロココ調だったり、アールヌーボー様式だったり、アールデコ調だったりと、それぞれに個性的で濃密な雰囲気に彩られているのであります。
まさに、地底世界にこつ然と出現した、美の異空間!という感じです。

え、これも見てみたい?
はい、では、こちらの写真をじっくりとごらんください。

しかし、地下鉄の構内が、どうしてわざわざこんなにも地下深くに作られたのか…??

一番古い駅は1930年代、多くは、第2次大戦後のスターリン独裁時代に建設されたといいます。
どこかで聞いてすでにご存じのかたもいると思いますが、実は、通常戦争時の防空壕として、さらに米ソの冷戦時には、核戦争が起こったときにシェルターとして使うことを想定して作られたんですね。

実際にご自身の眼と肌で体験されるとわかりますが、これだけ深いところにこれだけの空間があると、ほんとに核爆弾が落ちても、じゅうぶんその用途に耐えられるような気になります。

では、ばく大なお金をかけて作ったであろう、この宮殿のような華美華麗なプラットホームの装飾は、いったいなんのためのものなのか…??
よくわかりません…。
これは私ヤクーニンの推測ですが、きっと戦争で地上がめちゃくちゃに破壊されたときのために、国家がロシア民族の偉大な文化の一部を地下深くに残しておこうと考えたのではないか、と思うのであります。
(どなたか、ほんとうの理由をご存じのかたは、教えて!)

今回もまた、余談が予想以上に長くなってしまいましたが…。(^0^)!
次回もどうぞお楽しみに!

ダスビダーニヤ!(さようなら!)
(続く)
posted by クミートリー・ヤクーニン at 15:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月15日

ジャスミン(1)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ディラー?(ごきげんいかがですか!)

さて、これまでは、ロシアを代表する男女人気グループをご覧いただいてきましたが、今回はソロ・アーティストの登場です!

まずは、ロシアで絶大な人気を誇る女性ボーカリストで、私ヤクーニン、イチ押しのジャスミンちゃん(お茶じゃありません)から。

黒髪黒眼のエスニック美人、ジャスミンちゃんは、ロシアの最南端、カスピ海に面したダゲスタンという共和国出身。
ここには、ロシア系(少数派です)以外に、トルコ系、イラン系など、約10もの民族がぐちゃぐちゃ状態で住んでいます。
で、わかる人にはわかると思いますが、ジャスミンちゃんは、ばりばりイラン系美人なわけです。
23歳でソロ歌手としてデビュー、これからご紹介する「ターク・ブィバーイェト」(よくあること)が、いきなり大ヒットになります。

歌詞の内容ですが、彼氏の気持ちがもう自分にないことに気づき、別れを決意する女性の気持ちを歌ったものです。

私は今日、あなたを自由にしてあげる。
あなたと交わしている会話も、思い出すことはないわ。
だって、あなたの心のリストには、私たちの愛はもう載っていないもの…。
あなたの眼は、夢がいっぱいつまった青い海のよう。
でも、もうそこに私たちの愛はないんだわ…。
夢なんて、すぐに終わっちゃう。
よくあることね。
ふたりのあいだで輝いていた太陽でさえ、ある日、冷たくなってしまう。
よくあることね…。


シンプルだけど、非常にハイセンスなアレンジがほどこされた、スピード感あふれるダンサブルなナンバーです!(^o^)!



ところで、このクリップは、地下鉄の駅でロケが行われてますけれど、ロシアで地下鉄があるのはモスクワだけ。
でも、実はモスクワには、こんなモダン(?)な雰囲気の地下鉄の駅はありません!
(モスクワの地下鉄の驚くべき特徴については、次回ご紹介するつもりです。)

さて。ここで、問題です。
ではこれは、いったいどこの地下鉄なんでしょう????

このクリップを見て一発でわかった方は、天才的な動体視力の持ち主です。
(ちなみに、私は3,4回目で、おや?と感じました。)

わからなかった方は、まずこのYouTubeのクリップを1分13秒あたりまで進めて、そこでストップしてみてください。
すると、駅のプラットフォームに立つ彼女の上の方に、駅名が書かれた看板があるのが見えると思います。それを、よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く見てみますと…、

あ〜〜〜〜っ!
な、な、なんと、そこには、日本語の「ひらがな」が書かれているではありませんか!!

で、さらによ〜〜〜〜〜く見てみると、それは「たいひあてき」などという、まったく意味不明の駅名になっちゃっております…。
これは、いったいどういうことなのか…。

なにを隠そう尻を隠そう、実は私も詳細はよくわかりません。
ネットで、このクリップのロケがどこで行われたのかを必死で調べてみましたが、残念ながらその答えはいまだに見つかっておりません。(涙)

で、私が推察するに…。
(1)日本の都会のどこかにある地下鉄で実際にロケを行い、何らかの理由から(たとえば、予算がないので、許可を取らずに撮影した、など)、あとで看板の駅名をコンピュータで適当な日本語に修正した。

(2)日本の地下鉄構内の雰囲気をコンピュータ・グラフィックで再現して、登場人物を合成した。でも、どうせロシア人は日本語が読めないので、駅名はわけのわからない日本語(ひらがな)にしておいた。

どちらにも可能性があると思いますが、さて、ここでまた疑問がわいてきます。
なぜ、このクリップのディレクターは、「日本」の地下鉄のイメージがほしかったのか、という疑問です。

このブログの初回からの愛読者(って、いるかな〜?)なら、もうおわかりですね。
ロシア人には、「日本=超現代的」という強烈なイメージと一種の憧れがあり、そんな「日本」が大好きなのです!(^o^)!
だから、そんな「日本」のイメージを利用して、このクリップを先端的なイメージで表現したかったんですね。

でも、なかには、「そんなの、オメーの単なる勝手な推測だろうが」といぶかしがる方もいらっしゃるでしょう。

実は、ロシアにはない先端的なイメージを作るために、わざわざ遠い日本まで出向いてロケをした例が、過去にもあるのです。
それは、あの映画界の世界的巨匠、アンドレイ・タルコフスキーなのです!

ご存じの方はご存じでしょうが、まだご存じでない方のために、ちょっとご紹介しましょう。

タルコフスキーの代表作のひとつに、1972年に作られた「惑星ソラリス」というヒジョーに美しく哀しい、ヒジョーに哲学的な映画があります。
「映像の詩人」といわれたタルコフスキーだけあって、ワンシーン、ワンシーンは涙が出るほど美しいです!
(まだ観てない方は必見!! ひょっとすると、あなたの人生が変わってしまうかもしれない名作中の名作です。ちょっと前、ハリウッドで、ジョージ・クルーニー主演による「ソラリス」というリメイク版が作られましたが、オリジナル版には遠くおよばない駄作です!)

映画の内容については、長くなるのでここでは説明しませんが、劇中、未来のモスクワでのわずか5分程度のワン・シーンを描きたかったがために、タルコフスキーは、まだ社会主義まっ只中だったソ連から、仮想敵国日本へやってきて、東京オリンピックのときに完成した東京の首都高でロケを行ったのでした。(拍手!)

ロシアには、高速道路などありませんでしたし(いまでもありません)、当時は、高層ビルなんてものもあまりなかったですから、あるときは、隙間なく林立する高層ビルのあいだを縫うように、またあるときは、地下のトンネルに潜って走る日本の首都高は、ちょうど私たちが子どものころ、手塚治虫が描いた近未来マンガを読んでワクワクしたときのように、驚異に映ったに違いありません。


う〜〜ん、おもしろいですね〜、なんだか不思議ですね〜、なつかしいですね〜〜。
(ちなみに、最後は六本木の交差点です。)
って、今回はどんどん話がずれてしまいました…。

さて、次回もジャスミンちゃんの代表曲をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

ダスビダーニヤ!(さようなら!)
(続く)


惑星ソラリス [DVD]

posted by クミートリー・ヤクーニン at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。