2010年07月30日

ジャスミン(3)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ディラー?(ごきげんいかがですか!)

さて今回は、ロシアを代表する女性シンガー、ジャスミンちゃんの第3回目!
ファースト・アルバムの表題曲、「ガラバロームカ」(謎)を紹介しましょう。
彼女の名を一気に知らしめた、記念すべき最初の大ヒット曲です!

ではさっそく、歌詞の内容です。


夏。ふたりの時間はまたたくまに過ぎていった。
夏は、恋をするにはもってこい。
かんたんに恋に落ちるから。
でも、あなたを理解するには短すぎた。
秋になれば、ふたりの気持ちは木の葉が紅葉するように、
まったく違う色に変わってしまう。
そう、恋は夏のよう。そして夏の恋は謎のよう。
あっというまに過ぎ去って、突然空虚なものになる…。
わたしたち、きっと急ぎすぎたのかもしれないわね…。


私がとやかく説明する内容ではないですね。
まさに、恋の本質を突いた歌詞であります…。

例によって、歌詞の内容とはほとんど関連性のないクリップですが…。では!


ところで、夏といえば…。
ここ最近のニュースによると、ロシアでは各地で38度をこえる猛暑が連日のように続き、6、7月の水死者の合計はなんと! すでに2000人を超えているとのこと。
その原因のひとつは、ウオッカを飲んで泥酔したロシア人男性が、そのまま海に入っておぼれ死んでしまったことだ、と報じられています。

でも、TVのニュースを見ると、べろんべろんのロシアおやじが出てきて、政府の注意の呼びかけを無視して、「うっせーなー(ヒック)。オ、オレは(ヒック)でーじょーぶだよ!」(なぜか江戸弁)と、ろれつが回らないまま海(川?)に飛びこんでいく映像が出てきたりして…。

それほど、ロシア人はウオッカが大好きです。
というか、国産で作っている蒸留酒は、ウオッカしかありません。
ウイスキーは輸入品なので、高すぎて庶民には手が(足も)出ません。
国産のビールはけっこういろいろな種類があります。でも、まずいです。
それと、レストランでビールを注文しても、冷えてません…。
日本人や外国人が驚いて文句を言うと、その時点からビールを冷やし始めます。(^0^)!
す、すばらしい国ですね〜!!(汗)

結局、冷えたビールが出てくるのは、へたをすると、メシを食い終わった2時間後ぐらいになります(それでもぬるい!)。
そう、もはや食後酒です(もう、いらんわ!!)。

というか、ロシア人にはまず、酒を冷やして飲む、などという習慣がありません。
ウオッカももちろん、日本のバーみたいにギンギンに冷やしたり、オン・ザ・ロックにしたりすることはしません。
だから、せっかくの酒を、水でうすめたうえに、さらに氷を入れて冷やす、「水割り」などは、彼らにはまさに想像を絶した「生ぬる〜い」飲み方です。
というか、そういう発想がもとからありません。
酒は生(き=常温のストレート)で飲む、というのが絶対基本条件なのです。

それと、ロシア女性の名誉(?)のために言っておきますが、彼女たちはそれほどウオッカを飲みません。あたりまえですが、女性には強すぎます。
彼女たちが飲むのは、だいたい、ワインかコニャックです。
でも、ロシアじゃあ、ワインやコニャックは高級品なのでは? と思うかもしれませんが、ロシアの南部にある気候が温暖なグルジアやモルドバ(両方とも、旧ソ連諸国)から、良質なワインやコニャックが安く手に入ります。

ウオッカはよくアルコール度数が高いと思われてますが、実はウィスキーと同じ、40度ぐらいのものが大半です。
でも、ロシア人は、「家族の幸せのために!」とか「みんなの健康のために!」とか「美しい女性のために!」と、何かにつけて休みなく乾杯(必ず杯を空けなければいけません!)するので、それにつきあわされて飲むと、日本人の場合、あとで死ぬほどおそろしい目にあいます。(ほんとに死ぬかもしれません…。)

ウオッカを水のように鯨飲するロシア人ですが、さすがに、つまみ(ロシア語で、「ザクースカ」といいます)を食べながら飲みます。
彼らが一番好きなのが、「サーラ」という、肉の脂身(白身)を塩漬けしたもの。
強力なウオッカから、脂肪で胃壁を守るわけですね。

東京に住んでいる、あるロシアの友人の家に遊びに行ったとき、このザクースカとして、レモンの輪切りの上に砂糖を右半分、コーヒーの粉を左半分、たっぷりまぶしたものが出てきたことがありました。
「これを食べながら飲めば、悪酔いしないからね〜〜」
という言葉をもろに信じ、
「さあ、もう一杯いこうぜ!」
という言葉に乗せられて、よ〜し一杯、また一杯と…。

ふと目を開けると、翌日、しかもすでに夕方、なぜか自宅の寝床に横たわっている自分に気がつきます。意識ははっきりしています。で、起き上がろうとすると…、
起き上がれません。
頭がクラクラします。いや、グラグラします。
もう一回、起き上がろうとすると、今度は、自分は世界の中心で、まわりがぐるぐる回転していくような、すさまじい感覚におそわれます…。(^0^)!
…。
はい。みなさんも、慣れないお酒の飲みすぎには、ぜひぜひ気をつけましょう!


…しかし。
あとで、これはウオッカを東京なんかで飲んだから、こんな凄惨な状況におちいったということがわかったのでした…。

ウオッカ恐怖体験のあとの、ある年の2月、ロシアのボルガ川ぞいにある、ボルゴグラードという大きな工業都市を訪れたことがありました。
(ちなみに、昔は「スターリングラード」という名前で、第2次世界大戦のとき、ドイツ軍と壮絶な戦いをしてソ連軍が勝利した場所として有名です。)

ロシアの真冬ですから、外はあたりまえに、マイナス20度〜30度ぐらいです。
そんなとき、郊外にある木造の一軒家にお邪魔したことがありました。

こうした一軒家には、ロシアの伝統的な暖房設備として、必ず「ペーチカ」という暖炉があります。(そう、だれでも知っているあの日本の童謡「ペチカ」がこれです。「ペーチカ」とは、本来「暖炉」「ストーブ」という意味です。)
でも、古い家だったので、あちこちのすきまから、スースー冷気が入ってきて、10分もすると、足もとからゾクゾクと強烈な冷えが伝わってきて、体全体に広がっていきます。
そんなこちらの事情を察した家のご主人。急いでレモンの輪切りが漬けてあるウオッカのボトルを持ってくると、「さ、さ。これをどうぞ!」と、それをコップになみなみと注いで目の前に差し出します。

一瞬、東京での「恐怖のウオッカ体験!」が私の頭をよぎりました。
が、そこは世界一善人の日本人! うやうやしくおじぎをして「え〜い、ままよ!」と一気飲みをしてしまったのでした。で、その後、私の身になにが起こったか…。

口からのど、のどから食道、食道から胃と、ウオッカがくわーッ!と順々に体のなかを伝わっていくのがわかります。そして、体じゅうが燃えるように熱くなります。
ヤバい…。

ところが…!
ものの5分たつか、たたないうちに、その火照りが、スーーっと消えていくのです。
もちろん、「酔い」なんてものはまったく感じません。しらふのまんまです。
そして、しばらくすると、また例の不気味な寒さがじわじわとおそってきます。で、またウオッカを一気飲みします。体が内側からほかほかしてきて、気持ちよ〜〜くなります。また飲みます。また気持ちよ〜〜くなります。
このくりかえしが、えんえんと続きます。

つまり、ウオッカというのは、このロシアのきびし〜〜い自然のなかで人間が生きていくために、必然的に生まれた飲みものであるということが、実際の体験からわかったんですね。
ということは、もともとこの酒は、東京のバーのような、ひじょうに快適な環境のなかなんかで飲むもんじゃない、ってことですね。
そんなところで、ある限度以上に飲んだら、確実に瀕死状態になるのはあたりまえ、ということです。

考えてみれば、別にウオッカにかぎらず、スコッチだってそうですね。
冬の過酷な自然環境のスコットランドの海辺で(行ったことはありませんが)、過酷な労働をしなければならなかった漁師が、いっときの暖を取るためとエネルギー回復のために、ボトルの口づたいにスコッチをぐいぐいと一気飲みしたのが本来のごくごく自然な飲み方であって、「あのさあ、シングルモルトのさあ、○○の△年もの。ロックでおねがいね〜。あ、チェイサーも」なんて、都会の快適なバーで女性を横にはべらせながら飲むもんじゃねーんだぞー!
…と、思わずひがみ8割で語気を強めてしまう私、ヤクーニンでありました…。

話をちょっともどしましょう。
ほんもののウオッカはひじょうに純度が高いので、ロシアでは、車のガソリンが切れたときに、平気でウオッカをガソリンタンクにどぼどぼ注いじゃいます。あせあせ(飛び散る汗)
ウオッカは小麦などの穀物が原料ですから、いまでいう、「バイオ燃料」を先取りしていたわけです! す、すごいですね〜〜、ロシア!!(^0^)!

ロシアは広いので、日本みたいにそこら中にガソリン・スタンドがあるわけじゃありません。郊外に行けば、なおさらです。
そんなところで、冬の、特に深夜にガス欠になったら、確実に凍え死んじゃいます。
というわけで、ロシア人は、特に冬は緊急用のために、車の助手席にウオッカをたくさん置いておきます。

でも、なぜ助手席…?
体も冷えるから(特にロシア製の車)、運転しながらそのウオッカをどんどん飲んじゃいます!
つまり、ウオッカは、ロシア人にとって、緊急事態にそなえて、自分の命を守るための必須アイテムというわけです。

ところが…。
旧ソ連崩壊後、皮肉なことに、ウオッカ飲みすぎのアル中、エリツィンのせいで、経済はどん底におちいります。ハイパー・インフレ(パンから肉から、あらゆるモノの値段が信じられないくらいに暴騰しました)が起き、庶民の生活は完全にぼろぼろ…。
もちろん、ロシア人庶民にとっての生活必需品、それも安価だったウオッカでさえ、ほとんど手に入らなくなります。

すると当然、偽造ウオッカ(=超粗悪品のウオッカ。不純物が大量にふくまれてます)が、(闇)市場に大量に出まわることになります。
車のタンクにこの「にせウオッカ」を入れます。すると、もちろん車はすぐに故障します。
そして、この「にせウオッカ」をロシア人(男)が(大量に)飲みます。すると、もちろん人間もすぐに故障します。

つまり、この「にせウオッカ」が原因で、ロシア全土で大量の人(大半が男性)が中毒を起こしたり(たとえば、目がつぶれたり)、死んだりして、大変な社会問題になったこともありました。(酒が手に入らないので、医療用や工業用のエチルアルコールを飲んで多くの人が死んだ、まさに、あの日本の戦後の状況と同じですね。)


ロシア人の生活のなかで、ウオッカはほかにも重要な役割を演じます。
悪寒と関節痛がとつぜん全身をおそいはじめる、あのいや〜な風邪の引きはじめってありますね。
「ああ、このままだと明日は必ず熱が出る!」
そんなとき、ウオッカが大活躍をします。

(1)まず、大さじのスプーンにさとうを山盛りにのせ、そこにウオッカをたっぷりたらします。
(2)それを、ガスコンロなどの火であぶります。すると、ウオッカのアルコール分が蒸発してきてボッと青白い炎が出ます。
(3)そのまましばらくあぶりつづけ、さとうがちょっと焦げてきたところで火を消します。
(4)それを、あつあつに温めておいたコップ半分くらいのウオッカにいれて、よ〜くまぜます。
(5)これを一気飲みします!!

すると、もうおわかりのように、とつぜん体がぐ、ぐ、ぐわーっっと燃えるように熱くなります。そして、速攻で頭がくらっときて、一気に酔っぱらいます。
そうなると、好むと好まざるとにかかわらず、もう寝床に一直線に走ります!
すぐに意識を失い、そのまんまぐっすり寝てしまいます。
そして翌朝、目をさまして起き上がると…。
あれ? ホントに、ウソのように、すっきり!!!(変な日本語です。)
もちろん、二日酔いもなんにもありません。

ロシアでは、「あ、ヤバい! 風邪かも!」というときは、おとなだけでなく、こどもにも平気でこれを飲ませちゃいます。
私も、この「ごくあま・あつあつウオッカ!」で、何度となく風邪を引かずにすんだことがあります。

これは、あるお医者さんに聞いた話ですが、
ウオッカを飲んで、一時的に体内の熱が急上昇することで、細胞が一気に活発な活動をはじめる。→もちろん、アルコール分は勢いよく血液に溶けこみ、血液のなかの白血球など、外部の病原菌を攻撃する免疫細胞も「パワー全開!」になって、全身を駆けめぐる。しかも、山盛りのさとうのおかげで、燃料(=エネルギー)もたっぷり!
というメカニズムなんだろう、とのことでした。

また、こどもが風邪を引いて、せきがひどくなったり、気管支炎になったときなどは、お母さんが、ウオッカを脱脂綿にしみこませ、そのちいさな胸に、やさしく何度も何度も塗りつけます。
これをやると、こどもは息をするのがすごく楽になり、よく眠れるようになるのだそうです。
おそらく、ウオッカのアルコール分の気化熱で、内部の炎症がやわらぐのではないかと…(あ、これは医師無免許の私の推測です)。

す、すごいですね〜〜〜、ロシアのウオッカ!!

というわけで、今回の長い余談は、「ロシア人とウオッカの深い関係」についてでした。

では、次回もお楽しみに!!

ダスビダーニヤ!!(さよなら!!)

(続く)


posted by クミートリー・ヤクーニン at 15:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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