2011年07月04日

<番外編>超おいしい基本正統派「ブリヌィ」レシピ

さて、これからご紹介する「ブリヌィ」の材料の分量ですが、日本人だったら大人でだいたい2人前(ロシア人だったら、ほとんど0.2人前っ〜〜〜!)の基本分量になります。
お気に召したら、あとはこの基本量をもとに、ご家族の人数にあわせて、適宜、分量を増やしてくださいまし。


<材料>…繰り返しますが、ふつーの日本人のおとなだったら、ほぼ2人前!!

●小麦粉(薄力粉です! お間違えのないよう!)・・・約150g
●卵・・・2個
●牛乳・・・約50cc
●お水・・・約350cc
●サラダ油・・・大さじ約3杯
●塩・・・約4g(だいたい、ひとつまみ)
●砂糖・・・約15g
●バニラ・エッセンス(あれば)・・・適量
●直径約20cm程度のフライパン(できれば)

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と、だいたい日本のどこの家庭にも、ふつー必ずあるはずのものばかりですから、思いたったいまからでも作れますね!
調理方法も超かんたんです。基本的にホットケーキを作るのと同じですから…。


<作り方>
@ まず、卵2個を割って、ボールのなかでよくかきまぜます。

A その間に、牛乳(約50cc)を、電子レンジかガスコンロで、さわると「あちッ!」と感じるくらいまで温めておきましょう。

B @のボールに、水(約350cc)を注ぎ、ふたたびよくかきまぜます。
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C 次に、Aで熱々に温めておいた牛乳、塩(約4g=ひとつまみ)、砂糖(約15g)、小麦粉(約150g。薄力粉ですよ!!)、あればバニラ・エッセンス(お好みの量)、そしてサラダ油(大さじ約3杯)を一気に加えて、ダマがなくなるまでよ〜〜〜くかきまぜます。
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 ※ ちなみに、この時点でサラダ油を加えるのが、ラリーサさんのすばらしいアイディアです。こうしておくと、(ホットケーキみたいに)ブリヌィを一枚一枚焼くたびに、いちいちフライパンにサラダ油をひく手間が省けるのだそうです。(拍手っ!!)

さ〜て、いよいよ加熱調理ですが、前述したように、フライパンは直径約20cm程度のものがベストです。
なぜかというと、それより大きいフライパンだと必然的にブリヌィも大きくなり、途中、ひっくり返すのがむずかしくなります。
それと、焼き上がったブリヌィが大きすぎて、みなさんの家にある大きな平皿でも、おそらくはみ出してしまうからです。

続けましょう。

D フライパンに、サラダ油を少量たらし、ティッシュなどで薄く引きのばして(最初の一枚目だけでOKですよ!)、中火(!)で、フライパンが熱くなるまで温めます。
 ※ なお、重要なポイントですが、ブリヌィの最後の一枚を焼き上げるまで、ガスの火は、ず〜〜〜〜っと、中火のままにしておいてください。赤子が泣いても、中火のままで続けます!(さもないとアンモナイト、ブリヌィの焼き上がり具合が変わってしまうからです!)

E フライパンが熱くなったら、Cの材料をお玉に約1杯ぐらいすくい、フライパンに投入しましょう。
 ※ここでの重要なポイントは、Cの材料をできるだけ少なめにフライパンに注ぐことです。ブリヌィは薄ければ薄いほどおいしいからです。フライパンの表面に材料が薄〜〜く均一に広がる程度がベストですね。1、2回試してみて、お使いのお玉で、だいたたいどれくらいが適量かを把握しておきまっしょう!
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F ご覧のように、投入した材料が薄ければ薄いほど、10秒もたつと、ちっちゃーな気泡が一面に現れます。こんな感じであれば、完璧ですよ!
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しばらくすると、はじっこがキツネ色になって、自然にうっすらめくれ上がってきます。

G そして、一面全体がこんな感じでほとんど乾燥してきたら、フライ返しでひっくり返します。
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H あとは、逆面がある程度しっかり焼けたら、一枚目のできあがりです!!
逆面の焼きあがり具合は、こんな感じでOKです。
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ところで、ブリヌィ一枚の薄さは、横から見るとだいたいこんな感じです。
うわ〜〜っ! 極薄ですね〜〜〜!!
これが、基本正統派「ブリヌィ」です!
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I その後は、以上の作り方の連続です。とにかく薄いので、時間がかかります。
お好みの歌でも口ずさみながら、ボールの材料がなくなるまで、焦らず怒らず、ゆっくりリラックスして調理を楽しみましょう!
ちなみに、今回、日本人2人前用の材料でできあがったブリヌィは、最終的に14枚でした!
見た目には、こんな分量です。
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もう一度、ブリヌィの極薄状態を横から見てみると……。
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おもしろいのは、作りたてのブリヌィは硬い感じがしますが、時間が経つにつれて、だんだん柔らかくなっていきます。
ちょっと柔らかくなった温かいうちに、このブリヌィをいただくのがベストな食べ頃ですよ。
さ、さあ〜、召し上がれ!!!


<食べ方>
さ〜〜て、みなさんの台所でも、香ばしい匂いが薫り、思いっきり食欲をそそるブリヌィが無事できあがったと思います。
デザートとしての場合、ロシア人はふつー次のようなトッピングで、このブリヌィを食べます。

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@(電子レンジなどでチンして、溶かした)熱々バター
A(電子レンジなどでチンして、溶かした)熱々はちみつ
Bジャム
Cコンデンスミルク

もちろんこれ以外にも、サワークリーム(覚えてますか〜〜? ロシア語で「スメタナ」といいます)や、生クリームや、とろっと溶かしたチーズと一緒に、あるいはヨーグルトをかけて食べてもおいしいですよ〜〜〜!

どうでもいいことですが、ふつーはブリヌィをご覧のように四つ折りにして、とがった先っちょを、溶かしたバターなり、溶かしたはちみつなりにつけて、そのままガブっといただくようです。(2度づけ、いや何度づけでもOK!)

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実は、この熱々のバターにつけて食べるってところが、ロシア風なんですね〜。

たとえば、ロシアの文豪、ゴーゴリも『死せる魂』のなかで、こう書いてます。
「『ブリヌィはいかがですか?』女主人はいった。
 それに応えるようにチチコフは、ブリヌィを三枚いっぺんに巻き、熱々の溶かしバターをつけて口に運び、ナプキンで唇と手を拭いた。」(沼野恭子訳・ゴーゴリ『死せる魂』より)


これだけ極薄だと、ロシア男にとっては、3枚一緒なんてのは当たり前です。
ついでにもうひとつ! 日本でも人気のあるチェーホフの短編から…。
「ブリヌィはこんがりいい色に焼けて、いくつもぷつぷつ穴があいており、商人の娘の肩のようにふっくらしていた……。ポドティキンは嬉しそうににっこりし、喜びのあまりしゃっくりをすると、熱いバターをブリヌィ一面に塗った。」
(沼野恭子訳・チェーホフ『無情について』より)


ちなみに、ラリーサさんの11歳の息子、ユーリ君は、しゃっくりはせず、ブリヌィをまず半分に折ったところで、最初はコンデンスミルクだけバージョン、次はジャムだけバージョン、最後はコンデンスミルクとジャムの両方を垂らした、いわゆる「だからいわねーこっちゃねー、アメリカ人大好き超高カロリー、あとでどんだけ太ったって知らねーからな!」バージョンを、バカ〜っと一気に口に放り込んで、さも満足そうに不気味な笑みを浮かべておりました…。

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私もこの際。それぞれのトッピングで試させていただきましたが、どれも、「う、う、極うま〜〜〜!」でございました!

posted by クミートリー・ヤクーニン at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | レシピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

<番外編>ロシアの家庭料理「ブリヌィ」

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ウ・ヴァース・ディラー?(ごきげんいかがですか〜?)

全世界の!(相変わらずずうずうしく出てます)「だれも知らないロシアン・ポップスの魅力」ブログ・ファンのみなさま!
またも、ながらく更新をサボっておりまして、イズヴィニーチェ!(すみません!)

さ〜〜て、以前「ボールシ(ボルシチ)」の作り方をご紹介したところ、意外にも全世界の数人もの多くのかたから「お、おいし〜〜い!」「ぜひ、別のロシア料理も紹介して!」との大反響がありました!
そんなわけで、今回は久しぶりに、またも特別編として、いざ!ロシアの代表的な家庭料理のレシピーを、ふたたび読者のみなさまだけに、こっそりと限定披露!したいと思います。

で、その名も、「ブリヌィ」!!

「ってさあ、いったい、なに、それ??」という声が、早速大きく聞こえてまいりました。
「ブリヌィ」というのは、いってみれば、ロシア風クレープのことであります。
(例によって、ロシア人たちはいとしさをこめて、「ブリンチキ」とも呼びます。)

といっても、ふだんみなさんが街角で立ち食いするような、アイスクリームたっぷり! ジャムたっぷり! 生クリーム+フルーツたっぷり! 「ふん、もうこの際、太ったってかまわないもんね〜的」豪華絢爛な高カロリーの、あの、もろアメリカン・スタイルのクレープとは微妙に雰囲気がちがいます。
まずその厚さ(というか、薄さ)が、あのアメリカン・タイプのクレープとはちがいます。

おいしいロシアの「ブリヌィ」は、太陽にかざすと完全に透けて見えるぐらい、薄い!です。
いわば、「見た目も味もひじょーにシンプルな、激薄ロシア風クレープ」というのがいちばん近いかもしれませんねん、亀はまんねん。

あーだこーだ説明するよりも、まずは最初に、美しい「ブリヌィ」の完成品をご覧いただきましょう。
ジャ、ジャ〜〜〜〜〜〜ン!

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どうですか?
お、お、おいしそうですね〜〜っっっ!!
それに一見しただけで、「ブリヌィ」の極薄状態がおわかりになるのでは?(あまりに薄いので、はしっこの皮がめくれ上がってます!)

以前ご紹介した「ボールシ(日本語の一般名、ボルシチ)」と同様、この「ブリヌィ」は、ロシアの最もポピュラーな家庭料理のひとつといえます。

そのまんまではちみつやジャムをつけたり、チーズをくるんで、朝食やおやつとして食べるもよし。煮込んだ肉や野菜をくるんでちゃんとした一品料理として食べるもよし。
イクラやキャビア(う〜、ぜいたくぅ〜、食べた〜〜い!)を乗せたりくるんだりして、酒の肴として食べるもよし。
ロシアの人々は、いろんなバリエーションで「ブリヌィ」を楽しみます。

きわめてシンプルな料理、柔らかくて味もしつこくなく淡白なので、小さい子どもから、おじいちゃんおばあちゃんまで、だれにでもおいしく食べられます。(そして、「ボールシ」同様、二日酔いで「お、お、オエッ!」状態の男子女子にもうってつけです!)

そして、これまた例の「ボールシ」同様、「ブリヌィ」は、その家その家によって作り方も味つけも(そして、実は厚さも)さまざまです。
つまり、ロシアではまさに、「主婦の数だけ不倫がある!、じゃなくて、ブリヌィがある!」といっていいでしょう。

ことほどさように一般的な家庭料理なので、ロシアの偉大なる文豪たちの小説には、食事の場面などに、しばしばこの「ブリヌィ」が登場することになります。
でも、「ブリヌィ」を見たことも食べたことものない日本人には、そのまま「ブリヌィ」と訳してもまったく意味不明です。
んなわけで、訳者の苦肉の策として、「ロシア風薄餅」なんて訳されたこともあります。

たとえば、あのロシアの大文豪、ドストエフスキーの代表作で、久々の新訳として昨年売れに売れた亀山郁夫氏訳の『カラマーゾフの兄弟』ですが、そのなかにも、
「『さあ、話はこれぐらいにして、あの子の供養に行きましょうよ。あんまり気にせず、クレープを食べてくださいね。ずっとづついているよい習慣なんですから』アリョーシャは笑いながら言った。」(第5巻、P63)
といったくだりがでてきます。

ここで、「クレープ」と訳されているのが、はい。実は「ブリヌィ」なんですね。
亀山大先生も、そのまま「ブリヌィ」と訳しても一般の日本人にはわかるまい…と、悩みに悩んでこう訳されたのでしょう。


と、あいかわらずのうんちく的前置きはさておき、さっそくレシピーをご紹介しましょう!

ちなみに、前回同様、今回、ごくうま!「ブリヌィ」のレシピをご紹介いただいたのは、「ロシアの家庭料理を作らせたら、どれも絶品!」という、日本在住、料理上手のほんもののロシア人主婦(にせもんのロシア人ってどんなやつだ?)、ラリーサさんです。(スパシーヴァ(ありがとう)、ラリーサさん!! これからもどうぞよろしくお願いします!) 

★「ブリヌィ」レシピ


ところで、例によって、「ブリヌィ」にまつわるウンチクをひとつ…。

ロシアでは、毎年2月に「マースレニッツァ」というロシア正教のお祭り(キリスト教の「謝肉祭」にあたります)が行われます。
このお祭りは、ロシアの長〜く厳しい〜〜〜!冬がようやく終わりに近づいて、もうすぐ訪れる春を祝う大切なものなんです。そう、日本でいえば、旧暦の「立春」に、みんなで飲めや歌えの大騒ぎをするみたいな感じです。

でもって、「マースレニッツァ」の語源は、ロシア語のバター(マースラ)から来ているので、別名、「大バター祭り!」とも呼ばれていて、この日には、ロシア人は家族や友人みんなで、大量(ほんとに大量です!! 大皿に、高さ50cmにもなろうかというほど!あせあせ(飛び散る汗))のブリヌィを、ひたすら食べまくるのです。
「でも、なんでブリヌィなのさ?」
と、だれもが疑問に思うでしょう。(別に疑問に思わないでしょうが、単にもっとうんちくを聞いてもらうために、決めつけてますたらーっ(汗)

ご覧のように、ブリヌィは丸〜〜い形をしていますね。
つまり、ロシア人は、このブリヌィをぽかぽかと暖かな「お日さま」に見立て、それをとにかくたくさん食べることでからだにエネルギーをたっぷり取りこんで、健康を願うのです。
日本でも、十五夜に、丸〜〜い月を酒の杯に逆さに映し、これを飲み干して「不老長寿」を祈る、あの粋な風習に似ていると言えば似ているし、似てないと言えば似てないですね。(はっきりせい!)

また、「大バター祭り!」という別名にたがわず、ロシアの主婦やバブーリャたちは、ふつう、ブリヌィを一枚焼くごとに、その表面にバターを「これでもか! これでもか! え〜〜い、これでもまだ足りぬか!!」と塗りたくっては山のように積み重ねていきます。
(うわ〜〜っ! そんなことしてたら、当然、できあがるまでに何時間もかかりますね…)

しかしこれだと、「ダイエット志向かつインスタントラーメン大好き」のいまの日本人には、「カロリー、チョー高すぎ!」「脂分、チョー多すぎ!」「手間、チョーかかりすぎ!」という三重苦状態になります。
ラリーサさんも、そこら辺のことをよ〜くご存じ。
なわけで、このレシピーでは、あえて一枚一枚にバターは塗らず、お好みでちょこっとつけて食べるがよろし!としております。はい。

「ブリヌィ」を作るときってのは、当のロシア人にとっても最初の一枚には手こずるらしいです。極薄にする分量加減と火加減がむずかしいので、ロシアではこんなことわざがあるそうです。

 だれでも1枚目のブリヌィは失敗する。

つまり、なにごとも初めてのことはうまくいかないものだ。という意味です。
このことわざは、さらにこう続きます。

 2枚目のブリヌィは、近しい友人のために。
 3枚目は、遠い親戚に。
 4枚目は、自分に。


これは、そのまんまですね。
日本のことわざでいえば、「遠い親戚より近くの他人」。
つまり、いざという時は遠くに住んでいる親類より、近くの他人のほうが頼りになるということ!
手間のかかるブリヌィだけど、うまく焼けたら、まず最初は遠い親戚より、真っ先に、いつも自分たちを助けてくれる身近な親友に差し上げましょう。そして、もしまだブリヌィが残ってたら、最後に自分がいただきましょう、ということ。
つまり、ふつーのロシア人というのは、まず自分よりお世話になった他人のことを優先することが大事だ、と考えているんですね。
実はロシア人は、このように非常に日本人的でとても謙虚なんです。

それと、「ブリヌィ」はこれだけ極薄なので、特にロシアの田舎の大家族(10人20人は当たり前!)の主婦(あるいは、あのバブーリャ!)にとっては、一回作るだけで大変な手間と時間がかかります。3時間、4時間、コンロの前から離れずにブリヌィを作り続けるのは、当たり前なんですね。
なわけで、彼女たちはたとえば次のような歌を唄いながら、せっせとブリヌィを作ることになります。

はい! では、曲名もまさに「ブリヌィ」というロシア民謡(というより童謡)をご覧いただきましょう!(歌っているのはロシアの子供たち)

とりあえず、詞の内容はこちら。
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ブリヌィの材料はそろったし
お水も、きのう井戸からくんできた
わたしのブリヌィ、バターたっぷりのブリヌィ!

あとで、市場ですぐ作って売れるように
家で材料をかきまぜておきましょう
わたしのブリヌィ、バターたっぷりのブリヌィ!

いっしょうけんめい作ったのに どうしてだれも買ってくれないの?
そこへ豚さんがやってきて、くんくん匂いをかいでいる
わたしのブリヌィ、バターたっぷりのブリヌィ!

でもどうやら食べすぎて
おなかをこわしちゃったみたい
わたしのブリヌィ、バターたっぷりのブリヌィ!
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では今回は、おいし〜いブリヌィをほおばりながら、

ダスビダーニヤ〜〜!!(さようなら〜〜!)
posted by クミートリー・ヤクーニン at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | レシピ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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