2011年02月18日

イヴァン・クパーラ(3)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)

前回にひきつづき、
● ロシアのバブーリャのすばらしさ・その2
―バブーリャは強い!


ロシアを根本的に支えているもの(そして、これまでロシアをず〜〜〜っと支えてきたもの)、そして、50年後、100年後、いや、未来永劫、永遠にロシアを支えていく、超普遍(不変)的なもの…。
私ヤクーニンが思うに、それは政治的、哲学的なイデオロギーや、ロシアに豊富な天然資源(石油とか天然ガスとか)なんかじゃありません。
そう、イデオロギーなんて〜のは、ソビエト社会主義が一日で崩壊したように、簡単に変わっちゃいますね。
石油も天然ガスも、ごく近い将来、必ず枯渇してしまいます。
この世界にまれに見る広大なロシアにおいて、おそらく永遠に変わらなず、残り続けるもの…。
それは、まさに今もしっかりと田舎(土着の土地)に根付いて、力強く、生命力豊かに生息している、これらバブーリャたちなのです!

子どもであれおとなであれ年寄りであれ、男子であれ女子であれ、貧乏であれ金持ちであれ、無名であれ有名であれ、プーチンであれ現大統領のメドヴェーデフであれ(たぶん)、ロシア人のすべてはバブーリャが大好きです。心から尊敬しています。

だから、自分のバブーリャだけには頭が上がりません。
子どもは、父親や母親やおじいちゃんの言うことには平気で反抗しますが、バブーリャには絶対反抗しません。
それくらい、バブーリャの存在は絶対的です。家族統合の象徴のような存在なんです。
(日本でも、たしかに「偉大なるおばあちゃん」はたくさんいます。でも、ロシア人のバブーリャへの絶対的な愛情と尊敬の念は、日本人がおばあちゃんに対して抱くそれとは、おそらく比較になりません。)

さて、ちょっと上のほうで、何気なく「子どもはおじいちゃんにも反抗する」と書きましたが、ロシアでは、「仕事しない」「浮気ばかりする」「酒ばかり飲む」「すぐに薬に手を出す」ロシア男子は、社会的にも家庭内でも、ある意味、非常に地位が低いです。
それに反して、以前のブログでも書いたように、ロシア女性は、ひとたび家庭を持った瞬間(子どもができたら)、それまでの、かわいい、きれいなだけの女性とは一変して、とんでもなく力強い、粘り強い人間に変容します。

その象徴が、ロシアのバブーリャですexclamation×2

「ロシア女性ってさ〜、たしかに若いころはきれいかもしれないけど、歳を取るととにかくみ〜〜んなデブになっちゃうよな〜〜」という先入観を持っている日本人が多いですが、それにはある理由があります。

バブーリャは、命をかけてでも、自分の家族を守ります。
そうなんです。
そのために、デブになります。

それは、家族のために、ひたすら生き続けるためです。


以前ご紹介したクリップで、「カストラマー」というロシアのとある田舎のバブーリャたちが登場しましたね。
鍬や鋤をかついで、ほこりだらけの田舎道をゆっさゆっさと行進していく彼女たちの姿は、まるで自分たちの家族や生活をおびやかす外敵から決死の覚悟で守る、強靱で頑強な民兵のようです。

つまり、ロシアのバブーリャというのは、まさにロシアの「強さ」「忍耐力」「生命力」そして「限りない優しさ」といった、あらゆる美徳の象徴なのです。
愛すべき家族には広大な海のように横たわり、家族の生活や命をおびやかすような、あらゆる憎むべき外敵(経済でも戦争でも)には切り立った大きな山のようにそびえる存在なのです。

特に社会主義時代のソビエトでは、母親は父親同様(あるいはそれ以上)、必死になって社会で働かなければなりませんでした。
じゃあ、家に残された小さな子どもを養うのは?
そう、バブーリャです。
料理、洗濯、掃除、買い出し、森でのいちご狩りやキノコ狩りなど、生活に関するすべてのことはもちろん、おつむを取り替えたり、遊び相手になったり、しつけや読み書き、道徳や人生の教育まで、小さな子どもたちに関するありとあらゆる世話をしたのは、そう、このバブーリャたちだったのです。
だから、年寄りでデブにもかかわらず、なんやかんやでほとんど休まず、家の中を一日中、非常にゆっくりですが動き回ってます。

みなさんもうご存じのように、ロシア男性は、60歳やそこらで死んでしまいます。
つまり、ロシアの男は、家族にとってほとんどあてになりません。
残されたのは、年老いたバブーリャです。

好むと好まざるとに関わらず、バブーリャは、残された家族、つまり残された娘、息子、孫、ひ孫、ひひ孫たちのために可能な限りの準備をし、努力を開始します。

そのひとつが、まず、デブになる!ことなんです。
どんな非常時がやってきてもそれに耐えるだけの、体力とエネルギーを蓄えておくためです。
つまり、都会の人間が、飽食と運動不足でデブになるのとは、根本的に意味がちがいます。

いわば、クマの冬眠と同じです。(汗…。)

冬が来て、食べるものがなくなったときに備えて、事前にしっかりとエネルギーを蓄えておくのです。
ただでさえ少ない食糧を、自分は食べずに、家族を食べさせるためです。
動物にとっての冬は、人間にとっての飢餓状態ですね。
かつてのソビエト、そしてそれ以前のロシアでは、なんども飢餓状態が襲いました。
そのために、ロシア人は、来るべき厳しい冬(自然の冬+経済的な冬)に備えて、常日頃から、糖分と脂肪分を大量に摂取します。
前にもいったように、ロシアの特に女性は、コーヒーにも紅茶にも、異常なほど大量の砂糖を入れて飲みます。チョコレートを食べる量もハンパじゃありません。(だからでしょうが、ロシアのチョコレートは非常に安いくせに、非常においしいです!)
糖分は、体のエネルギー源です。
つまりそうやって、大量の糖分をグリコーゲンに変えて、体内にしっかり蓄積しておくのです。
生きるために必要なエネルギーが不足してくると、体は蓄積しておいたグリコーゲンを糖分に変えて、せっせと補給します。
脂肪も同じです。
バブーリャのこのあり余った脂肪は、いざ!というときのための大事な蓄えなんです。

だから、ふつう、このデブちんバブーリャたちは、2〜3週間くらいなら、何も食べなくても平気です!(汗…。)(ホントです!!)
そうやって、自分が食べない分の食糧を、愛する家族たちにまわすのです。(涙…。)
そんな日頃からのバブーリャのほとんど自己犠牲的な行動や心づかいを前にして、家族たちが尊敬しないわけがありませんね。

ま、私ヤクーニンが「ロシア人にとって、いかにバブーリャが愛すべき偉大な存在か!」についてくだくだと説明するより、ロシア人自身がそのことを唄った感動的な一曲をご紹介しましょう!(んなら、最初っからそうしろって。)

曲名はそのものずばり!「バーブシカ」(おばあちゃん)。
歌っているのは、「リュベー」というロシアの国民的な人気グループです。
あとで当ブログで紹介するつもりですが、このリュベーというグループは、ロシア人の大好きな、ちょっと悲しげでスローな曲調と、意味の深い、美しい歌詞で、あらゆる世代から支持されています。

では、まずはそのすばらしい歌詞の内容をご説明しましょう。

----------------------------------------------------------------
人生は思ったようにはいかないもの
いつも願ってるのとは逆の方に行ってしまう
でも、おばあちゃんだけはちがう
どんなにつらいときも、ぼくたちをやさしく受け入れて、すべてをわかってくれる

おばあちゃんにとって、ぼくたちは永遠に小さな孫のまんま
だからぼくたちは、激しい雨が降ったとき、寒い風が吹いたとき
急いであなたに駆け寄って
いつだって、そのやせたしわだらけの手を取って
そっとほほに当てるんだ

ゾーヤおばあちゃん、ニーナおばあちゃん
ターニャおばあちゃん、パリーナおばあちゃん…
ああ、おばあちゃん、心から愛してるよ

だれにも言えない秘密でも、おばあちゃんにだけは打ち明けられる
あなたはいつも家族のことばかり心配してる
そして、必ずぼくたちを安心させる言葉をかけてくれる
いつだって、家に戻る道すがら、ぼくたちが喜ぶような
手作りのお菓子や手編みの手袋やいろんなものを
そっとぼくたちの小さなかばんに忍ばせておいてくれるんだ

ああ、おばあちゃんの部屋にいると、なんて心地いいんだろう
ああ、その瞳はなんてあたたかくて優しいんだろう…
いつも自分のことより家族のためにお祈りをしてる
小さいときも今も、ぼくを守ってくれ、あたためてくれる

会えばいつだって、ぼくたちのことをじっと見つめてほほえんでくれる
ぼくたちにすべての安らぎを与えてくれるのは、おばあちゃんだけ
ああ、どうかずっと元気で生きていて
そして、どうか許してください
ぼくたちの人生が、もしあなたのお祈りどおりにいかなかったとしても…
----------------------------------------------------------------

う〜〜〜〜……、う、う、美しい歌詞ですね〜…。(涙…。)
では、美しいバラード調のワルツ、リュベーの名曲、「バーブシカ」をお聴きください!



う〜〜〜、
か、か、かわい〜〜ですね〜〜! バーブシカたち!!
何度となく人生の荒波を乗り越えてきただけあって、味のある、いい顔してますね〜っ!
いまは、デブでしわくちゃになってしまったバブーリャですが、おそらく、み〜〜んな、若かりしころは、さぞや宝石のように美しい美しいロシア女性だったことでしょう…。

それでは今回の最後に、イヴァン・クパーラが、そんなバブーリャたちの今は過ぎ去りし青春に捧げた、スローテンポの美しいバラード曲、「モーラダスチ」(若かりしころ)をご紹介しましょう。
詞は非常に短いです。

--------------------------------------------------------------
歌を唄うと、自然に涙が流れてくる
昔の若かりしころを思い出して…

青春はどこかへ行ってしまった、なんにも言わずに…
そして老いがやってきた、頼みもしないのに…

歌を唄うと、自然に涙が流れてくる
ああ、私の青春はどこへ行ってしまったの…
--------------------------------------------------------------




では、次回もぜひぜひお楽しみに〜〜手(パー)

ダ、ダ、ダスビダーニヤ〜〜〜!!
(続く、つもり…たらーっ(汗)


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2011年02月08日

イヴァン・クパーラ(2)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
ス ノービム ゴーダム!!(新年おめでとうございます!!)

みなさん、2011年に入ってもう2月になってしまいましたが、とりあえず、あけましておめでとうございま〜〜す!(それにしても遅すぎるっ!)
最近、ガクッと更新ペースが落ちてますが、これからは心をあらためまして、よりおもしろ楽しいロシアン・ポップスをご紹介していきたいと思います!


さ〜〜て、前回は、私ヤクーニンが最も愛するロシアン・ポップスのグループ、「イヴァン・クパーラ」の曲をご紹介しましたが、いかがでしたか?
何人かのかたからは、「衝撃的っ!!」「すごいものを見せてもらった!」とうれしい反応をいただきました。
というわけで、2011年第一回目の当ブログでも、ロシアの伝統民族音楽を絶妙にアレンジした、彼らのすばらしい曲、刺激的な曲を披露したいと思います。

まず、今年最初の曲は、「プチョーリ」です。
ごらんいただければわかると思いますが、これは、おそらく確実にあなたのアドレナリンを急上昇させ、寿命を5分間ぐらいは縮めるであろう、最も衝撃的なクリップでしょう!

ちなみに、「プチョーリ」とは、みつばちの意味。
例によって、歌詞の意味はこんな感じ。

-------------------------------------------------------------
ああ、私のかわいいミツバチちゃん
どうして元気に飛ばずにじっとしてるの?
雨も降っていないのに

ああ、私の大好きなお客さん
どうして何も言わずに座ってるの?
どうして何も食べないの?

私のだんなは、どうして悲しい顔をしてるの?
私の作ったパンがおいしくないから?
--------------------------------------------------------------


では、くれぐれも、卒倒などしないように気をつけて、ごらんあれっ!




す、す、すご〜〜〜〜〜〜っexclamation×2
い、いったい、何ですか、これ???

何がすごいって、いきなり登場する、ロシアのDJおばあちゃんですね!
民族衣装に身をまとい、農作業で日焼けした、しわしわくちゃくちゃ顔のばあちゃんが、ヘッドフォーンかぶってまんまDJスタイルで、ディスクをこきこきまわしちゃってます音楽
でも何が衝撃的かって、なんと、笑う口の中で、おびただしい金歯がきらきら、いやぎらぎら光ってます!!!
特に上の歯の半分は金歯です。(汗…。)
おそらく、世に出たおびただしい数のミュージック・クリップで、これほどまでの金歯ばあちゃんをフィーチャーしたのは、これが世界で初めてでしょう。

おお〜っ、これぞまさに、私ヤクーニンが心より愛してやまない、偉大なる純正田舎ロシアン・デブばあちゃん!!

ちなみに、おばあちゃんは、ロシア語では「バーブシカ」と言います。より親しみをこめた呼び方は、「バブーリャ」
なんか、いい〜〜感じの響きですね〜〜。みなさんも、ぜひ覚えてください。
(ということで、以下、ロシアのおばあちゃんのことを「バブーリャ」と呼んで説明していきたいと思います。)

ところで、みなさんご存じのように、おばあちゃんという言葉の響きは、日本語もほかの言語もなぜかおたがいに非常に似ています。
日本語では、短く言うと、「ばばあ」とか「ばば」ですね。
英語では、短く言うと、「バーバ」なんて言いますね。そしてロシア語ではさっき言ったみたいに、「バブーリャ」と言います。
つまり「バ」という響きが、必ず入ってます。
言語学的、民族学的に見て、実に不思議な共通現象ですよね。

ついでに言うと、おじいちゃんは、ロシア語で「ディェードゥシカ」、短く言うと、「ディェド」と言います。
日本語で短く言うと、「じじい」とか「じじ」、「じーじ」なんて言いますよね。
つまり、ロシア語でも日本語でも、「ディ」(「じ」)という、同じような音が入ってます。
う〜〜む、不思議ですね〜〜〜!


ま、それはそれとして、前回ご紹介したクリップといい、この曲のクリップといい、なぜ、「イヴァン・クパーラ」は、自分たちのクリップに、執拗にロシアのバブーリャ(=おばあちゃん)をフィーチャーするのでしょうか??
そう、それは、ロシアの本質が「ロシアの田舎のデブちんバブーリャ」にある!ということをよ〜〜く知っているからなのです。
ということで、今回は、ロシアの純正田舎デブちんバブーリャの偉大さと魅力を、ちょっとご紹介したいと思います。


● ロシアのバブーリャのすばらしさ・その1
―優しい、柔らかい、明るい、あったか〜〜い!

まず、笑顔が優し〜〜〜い!!
ロシアのバブーリャは、とにかくよく笑います。明るいです。そして、歌や踊りが大好きです。
だから、家族や友人のだれかが、例のガルモーシュカ(ロシア風アコーディオン)を弾き出したりなんかすると、昼間でもしらふでも、ニコニコ笑い出して、その巨体を揺り動かしながら、うれしそうにゆ〜〜らゆ〜〜らと踊り出してしまいます。

そして、めちゃくちゃ優しい! そして、あったか〜〜い!!
ロシア人であろうとなかろうと、とにかく家に訪れたお客に気を遣い、おどろくほどきめ細やかな気配りをしてくれます。(そう、日本の純正田舎ばあちゃんと同じです。)
しばらくテーブルに座っていると、そのうち予告なしに、突然山のような手料理(といっても、もちろんいきなりのごちそうの場合は、手の込んだものではありません、じゃがいもの煮っ転がしとか、キノコ料理とか、単なる焼いた肉の巨大なかたまりとか、巨大な器に入った自家製牛乳とか)が目の前に次々と現れることになります。
もちろん、日本人にはとても食べきれません…あせあせ(飛び散る汗)

次に、とても泣き虫です。すぐに泣いちゃいます。そう、涙もろいんです。
なんかの拍子に、自分の家族や人生の苦労話をちょっとしゃべり出したりしたものなら、もうすぐにポロポロ涙を流し始めます。
逆にこちらが家族や人生の問題を話しても、「ああ、かわいそうに、かわいそうに…」と言って、またすぐに泣き出しちゃいます(;_;)

だから、もうめちゃくちゃかわいいんです。
そう、心が完全に無防備に開いちゃってるんです、ロシアのバブーリャは。

ロシアのバブーリャは、人生を生き続けるということがいかに大変か、家族が幸せに暮らすということがいかに大変か、命や健康がいかに大切か、ということを本質的にわかっているんです。
(もちろん、日本でもアメリカでもフランスでも中国でも、世界中どこでも、田舎の人たちの人生はほとんど苦労だらけ。民族の違いなんかありません。だから、田舎の人は本質的に、み〜〜〜んな優しいんですね。)

ロシアのバブーリャは、共感すると、涙を流しながら、思いっきり私たちをガチ〜〜〜っとハグしてくれます。
で、その力ははんぱじゃありません。しばらくは息ができなくなります。
まるであの1960年代に活躍した伝説のプロレスラー、豊登(とよのぼり)の必殺技の「さばおり」みたいに強烈です(そんなやつ、知らねーって!)。
でもハグしてもらうと、とってもやわらかであったか〜いんですね〜〜、これが。
つまり、デブだからです。(汗…。)

そして、ハグされた瞬間、バブーリャ特有の匂いが、ほのか〜に匂ってきます…。
いい匂いです。
土の匂い、草の匂い、牛乳のような匂い、そしてあるときには、薪を焚いたときに出るけむりの匂い、あの心地よいスモーキーな匂いがしたりします。
そうなんです。田舎のとっても懐かし〜い匂いがするんです。

それだけじゃありません。
共感の度合いが激しいと、「ブチュ〜、ブチっ、ブチブチっ。ブチュ、ブチュブチュ、ブチュ〜〜ッキスマーク」と、放っておくと際限なく、顔中にキスの大嵐を見舞います。(大汗…。)

ちなみに、ロシア語には、「あたたかい」「優しい」という意味の単語が、日本語以上にたくさんあります。
たとえば、ロシア語で、ふつーに「優しい」というのは「ドーブルィ」と言いますが、もっと特別な意味や微妙なニュアンスの「優しさ」を表現するときに、ロシア人は、「ニェージヌィ」とか、「ラースカヴィ」という言葉を非常によく使います。

これは、単に日本語の「優しい」という意味以外に、まさにこのロシアのバブーリャのように、優しくて柔らかくて暖か〜くて、相手の哀しみも苦しみも、すべてを受け入れていやしてくれるようような、とてもふところの深〜い包容力を表す意味の「優しさ」を言い表す言葉なんですね。
だからロシア人は、特に、ロシアのバブーリャのように包容力のある優しさのことを言うときには、ふつーの「優しい」という意味の「ドーブルィ」ではなく、「ニェージヌィ」とか「ラースカヴィ」という言葉を好んで使います。

 *次回につづく*

posted by クミートリー・ヤクーニン at 12:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月28日

イヴァン・クパーラ(1)

ズドラーストヴィーチェ!(こんにちは!)
カーク・ディラー?(ごきげんいかがですか?)

すっかりのご無沙汰、まことに申し訳ありませんもうやだ〜(悲しい顔)
さ〜〜て、まもなく今年も終わり、そしてもうすぐお正月、そしてそのあとは、いよいよクリスマスクリスマス

って、なにを言ってんの? お正月のあとにクリスマスだって??
またウオッカの飲み過ぎで、ついに頭がイカレたんじゃないかとお思いかもしれません。
いえ、だいじょうぶ。ウオッカは例の事件以来、一滴も飲んでおりませんし、まだなんとか脳も働いております。

実は、ロシアのクリスマスは、12月25日ではありません。
なんと、1月7日なんですね。

ご存じのかたもいると思いますが、ロシアのキリスト教は、ロシア正教です。
ロシア正教では、ユリウス暦という古〜い暦を使っていて、この暦でいうと、クリスマスの12月25日は現代の1月7日あたる、というわけなんですね〜〜。


さ〜て本題。
久しぶりの更新ということで、今回は満を持して、私ヤクーニンが最も愛するロシアン・ポップスのグループをご紹介したいと思います!

おや?
「あのさー、そんなイチオシなら、なんでもっと早く紹介しないわけ??」
という非難の声が聞こえてくるような…あせあせ(飛び散る汗)

実は、彼らの曲は、ふつーの日本人にとっては、ある意味特殊なので、ロシアン・ポップスにまだ免疫ができていないかたにいきなり紹介してしまうと、「な、な、なんじゃ、これ???」とあっという間にソッポを向かれてしまうおそれがあったからなんです。

でも、これまで当ブログをお読みいただいてきたみなさんには、アメリカン・ポップともユーロ・ポップともJポップとも全くちがうロシアン・ポップスに、すでに免疫ができていると思いますので、やっと今回ご紹介しようと考えた次第です。

パンパカパ〜〜〜ン!(古っ!)
で、そのグループとは…………………………………………………、

はい!
「イヴァン・クパーラ」
であります!!

これ、ロシア男性の名前のように聞こえるかもしれませんが、実はグループ名なんですね。
メンバーは、楽器演奏、曲のアレンジを担当する男性3人と、コーラス担当の女性4人。
名前の由来は、あとで説明することにして、まずは彼らの代表作のひとつをご紹介しましょう。

曲名は「カストラマー」
「カストラマー」というのは、ロシアのある地方の名前です。
自分たちの住む自然の恵み豊かな土地を、女領主にたとえて讃えた歌です。
たわいもない内容ですが、ま、とりあえず要約しますと、こんな感じです。
-------------------------------------------------------------------------
こんにちわ、カストラマーさま! 何をしてるんです?
麻の花をしごいてるのよ

ああ、カストラマーさま、私の領主さま
ここには、ミルクのたっぷり入ったゼリーがある
チーズのたっぷり入ったクレープがある

こんにちわ、カストラマーさま! 何をしてるんです?
麻の糸を紡いでるのよ
ああ、神様! カストラマーさまをお助けください

こんにちわ、カストラマーさま! どうなさいました?
病気になってしまったの
ああ、カストラマーさま、どうか早くよくなってくださいな

-------------------------------------------------------------------------

先にタネ明かしをしちゃいますと、この曲はロシアの伝統民族音楽(つまり、ロシア民謡です!)に、センス抜群の現代的なアレンジをほどこした曲です。

とにもかくにも、まずはこの「イヴァン・クパーラ」の代表曲を初体験していただきましょう。
なかには、確実に、
「な、な、なにこれ?!」
という、混乱と不安と驚きととまどいが涌き起こってくる方もいると思いますので、注意してご覧ください!
では、ど〜〜〜ぞっ!!



さ〜〜て、どうでしたか?

1995年当時、ロシアで彼らのデビュー・アルバムが発表されるやいなや、彼らは一部の若者を中心に、異常なくらい熱狂的に支持されたのでした。

ひとつには、若者にとってはただの古くさい民謡が(残念ながら、日本でも「民謡」なんて、若者、いや中高年でさえ、ほとんど見向きもしませんね)、彼らの現代的なアレンジのセンスでもって、超クールな音楽になってしまったからです。
しかも、従来のロシアン・ポップスとはまったくちがう旋律と響き、しかも魂をゆさぶる本質的なエネルギーに満ちあふれているからです。(クリップに登場する、ロシアのおばちゃんパワーがその源です! この偉大なるロシアのおばちゃんパワーについては、後日たっぷりご紹介します!)

この一見(一聴?)古くさ〜〜い、ダサ〜〜〜いと思っていた民謡が、絶妙のアレンジと現代的なリズムを彼らが付加したことで、非常に現代的な、そしてかつてどこにもなかった超ユニークでエキゾチックな、まったく新しいダンス・ミュージックに変容してしまったのです。

私ヤクーニンが、かつて極東ロシアのハバロフスクを訪れた夜、巨大なディスコに連れて行ってもらってドアを開けると、なんと彼らの曲が繰り返し繰り返し、超大音量でかかっていました。そして、その曲にあわせて、ブロンド青い眼・スタイル抜群・ダンス超ウマの、ティーンエイジャーのロシア女子たちが、熱気ムンムンに汗をまき散らしながら、ひしめくように狂喜乱舞していたのであります!(う、う、うっとり…。)

ロシア国内での人気のほどは、このクリップのYouTubeの再生回数(20万回を超えています!)を見てもわかっていただけると思います。

ところで、彼らがデビューした1995年は、ソビエトが一夜にして崩壊した1991年から数年後のこと。

ロシアの一般庶民の多くは、長い間自分たちをしいたげてきたソビエト=共産主義の崩壊をひそかに喜んだいっぽうで、子どものころから信じさせられていたものが突然なくなったことで、第二次大戦直後の日本人のように、心にぽっかりと穴が開いて放心状態になったのでした。
いったい、これから何を信じればいいのか…。

そんなとき、彼らが心のよりどころとして求めたもののひとつが、宗教、つまりロシア正教です。

旧ソ連、共産党の一党独裁の時代には、みなさんご存じのように、信仰の自由はありませんでした。
「共産党宣言」を書いた、かのマルクス大先生の歴史的なお言葉、「宗教はアヘンである!」を金科玉条に、革命後、旧ソ連共産党は、それまで「ロシア人の魂のよりどころ」であったこのロシア正教を全否定します。
そして、ロシア全土にあったロシア正教の教会(建物のてっぺんに、あの美しい金色のもっこりした丸っこいものがある教会)を、めっちゃっちゃくっちゃっちゃに破壊しつくしてしまいました。(ああ、もったいない!! 日本でいえば、明治時代の一時期、全国で数多くの仏閣がぶっ壊れされてしまった「廃仏毀釈」みたいなもんですね。)

しかし、ソビエト崩壊に伴って(というか、ゴルバチョフが大統領になってから徐々に)、それまで共産党によって表向きは厳しく禁止されていた宗教(ロシア正教)の信仰が自由になったことも手伝って、ロシア全土で、ロシア正教がいっせいに復権、国民全体にものすごい影響力を与えていきました。
自分たちはロシア人である、というアイデンティティ、このままでは精神的にバラバラになってしまうロシア民族を一つにまとめてくれる「最もロシア的なるもの」の象徴を、ロシア正教に求めたんですね。

このロシア正教の復権とともに、もうひとつ一般庶民が心のよりどころにしたのが、ロシアの伝統文化や民族文化です。
つまり、若者をふくめ、多くの人々に、伝統回帰への気持ちが一気に強まったのです。

ロシアの伝統音楽を扱った「イヴァン・クパーラ」の音楽が、若者の一部に熱狂的に支持されたのは、こんな背景もからんでいます。

 *

それでは、もう一曲、彼らの貴重なライブ映像をご覧いただきましょう!
曲名は「カリダー」

「カリダー」とは、いまもロシアの田舎などで、ロシアのクリスマスイブの夜中(1月6日の夜)に行われる伝統的風習の呼び名です。
村に住む若い男の子や女の子が、クマやウサギなどの動物に扮装して、手作りのお菓子をもって、村中の家をたずねてまわります。住民がドアを開けると、彼らは歌を唄ったりダンスを踊って、寒〜〜い寒〜〜い夜を徹して、一軒一軒にクリスマスのお祝いをして歩くのです。
なんか、ほのぼのってて、いい感じですね〜〜!
ちなみに、カリダーの風景はこんな感じ。

で、曲の内容はこんな感じです。
----------------------------------------------------------------
白いしっぽのウサギちゃん、
テーブルに飛び乗って、砂糖の山をひとかじり
穴だらけのズボンから、細〜い灰色の足がのぞいてる

田舎の娘は美人ぞろい
だから道のそばにすわっちゃいけないよ
通りすがりの男にさらわれて、
売り飛ばされちゃうかもしれないよ

かわいいかわいいウサギちゃん
馬の格好の杖にまたがって、くねくね曲がった小川のそばを飛びはねる
穴だらけのズボンから、細〜い灰色の足がのぞいてる

田舎の娘は美人ぞろい
だから道のそばにすわっちゃいけないよ
緑の馬車に乗った商人にさらわれて、
100ルーブルで売り飛ばされちゃうかもしれないよ

ああ、カリダーが終わる明日の朝
やっとお肉が食べられる

----------------------------------------------------------------

では、いってみましょう〜〜〜!
(おっとその前に。このクリップは個人撮影のようなので、ビデオのマイクが音を拾いすぎて、いきなり大音量で始まりますので、クリップを再生する前に、コンピュータの音量をちょっと下げておいたほうがいいです。で、音質もめちゃくちゃひずんでます。あしからず。)



どうです?
も、も、も、ものすごい迫力、も、も、も、ものすごいエネルギーですね〜〜!!
観客はちょっと高年齢層ですが、彼らのパフォーマンスに対する熱狂ぶりがかいま見られますね!

ちなみに、ロシア民謡の独特の歌唱法は、日本やその他の国のそれ、つまり、こぶしをコロコロ使うのではなくて、非常に直線的に、かつ鋭角的に、絶叫的に歌う点にあります。

また魅力的なのは、かわいらしい民族衣装に身を包んだ彼女たちのダンスのステップです。
ビデオを見てわかるように、長いスカートの下からちょこっとのぞいた足で、控えめながらこまめに足踏みして、きちんと正確なリズムをキープしている点です。
私ヤクーニンには、これが非常にセクシーに見えて、もうたまりません…!

ところで、この曲の歌詞の最後、「ああ、カリダーが終わる明日の朝 やっとお肉が食べられる」にちょっとご注目を。

実はロシア正教の敬虔な信者は(昔は一般庶民はみ〜んな!)、ロシア正教の教えにより、いまでもなんとクリスマスのだいたい一週間前から、体を清める意味で、肉食を断ちます!
だから、アメリカやヨーロッパや日本みたいに、クリスマスになると七面鳥やにわとりの巨大な丸焼きにむしゃぶりつく!ってことは、彼らにとっては信じられないことなんですね。

さて、次回も「イヴァン・クパーラ」の超刺激的な曲の数々をご紹介したいと思います。


では、みなさん、そして2010年さん、

ダスビダーニヤ〜〜!!(さようなら〜〜!)

そして、

イショー・ウビーディムシャ!!(またお会いしましょうねっexclamation×2

posted by クミートリー・ヤクーニン at 11:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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